Requiem〜前編〜-20
――――ザザァァン・・・・ ザザァァン・・・ザザァァン・・・・・
シート越しに背中に感じる砂浜の柔らかさと独特の感触。
そして微かに聞こえてくる打ち寄せる波の音。
男性遍歴を重ねつつあるセリスにとっても、
ほとんど何も身に纏うことなく、
野外において生まれたままの姿を曝すことなど初めての経験だった。
そんな初めての経験のせいか、
静かな夜の帳の下にあっても、
次第に高まってくるセリスの興奮。
きっと自分が身を委せている目の前の男も同じ想いなのでは─────
そんな考えが一瞬セリスの脳裏をよぎった。
──────最後まで彼女の下腹部を守り、既に熱を帯びた蜜によってグッショリと濡れたショーツがスルスルと両足から抜き取られていく。
「ああ・・・ダメ、ダメ・・・・・」
だが言葉とは裏腹に、両目を閉じ抵抗の意思すら失っていたセリスは思わず目を閉じ押し寄せる快感に喘ぐ。
くしゃくしゃになったショーツがセッツァーによって闇の中に投げ捨てられ、
空気中に吐き出された喘ぎも闇の中で固くなっていた乳房の先端を男の唇に吸われ、
両足を開かれ繁みを掻き分けながら自らの“薔薇”の中に滑り込んできた熱い肉棒によって、いつしか乱れた声色へと変わっていった。
彼女の肌にはうっすらと汗が滲み、暗闇の中にあって赤みを帯びて上気している。
そして、
―――ズニュゥゥゥ・・・
「ダ・・・メ・・・・ああああ・・・」
セッツァーの熱を帯びた肉棒が自分の中に侵入してきた瞬間、セリスは思わず目を見開いてしまっていた。
しかしそこからセッツァーが腰を沈めてきた時、自分の中を進む彼の肉棒が痛みも抵抗もなく進んでくるのに、セリス自身が驚いていた。
「これが・・・夢にまで見たお前の・・・・柔らかくて締め付けてくる・・・」
一切の前戯なく自分を受け入れたセリスの“薔薇”の中の感覚に、
真下に横たわるセリスに覆い被さるようにして四つん這いのセッツァーは思わず呻くように感嘆の声を吐き出していた。
―――ズブッ、ズブッ、ズブゥッ・・・・・
殆ど抵抗もなくセッツァーの肉棒がセリスの奥の奥まで沈み込むや、
セッツァーは顔を傾けてセリスの唇を求め、同時に流れるような静かなテンポで前後に腰を動かし始める。
────ズニュッ・・・ズニュッ・・・ズニュッ・・・
「んっ・・・ん・・・・ぅっ」
その熱い視線を感じつつ、下半身から襲ってくる欲望の波に流されないよう、男の背中に両手両足を絡ませるセリス。
男の分厚い背中が前後に動くたびに、セリスの指先に次第に力が込められていった。
前後にリズムよく揺れながら、星空の下ぼんやりと浮き上がる2つの裸体。
遠目から見て小柄に見える白い裸体に岩のようにゴツゴツとした塊がのし掛かり、下から4本の細い白い枝が絡みついている、そんな情景だった。
それは弔いに訪れた地において、
既にこの世にない存在を意識しつつ
互いを求める王妃と賭博師。
とりわけ王妃セリスにとっては、2人きりの島の土の上で、辺りに漂う霊魂を意識しつつも、背徳の欲望の坩堝に身も心も溺れていった──────