メリッサ-4
「男は誰でもそこを真っ先に見るんだ」
「やっぱり下着に見えるでしょうか」
「見えるな」
「下着だから下着に見えてもおかしくはありません」
「何だって？ 君は下着で外に出て行ったのか？」
「何かおかしいですか？」
「下着で外出するのはおかしいに決まってるじゃないか」
「そんなことはありません。Ｔシャツだってもともとは下着なのです」
「昔は下着でも今は上着だろ。だからＴシャツの下にはブラジャーをするんじゃないか」
「貴方はＴシャツの下にブラジャーをするのですか？」
「うん、レースのブラジャーをいつもするね、ってな訳ないだろ。君はいつもノーブラなのか？」
「いつもノーブラですけど貴方はレースのブラが好きなのですか？」
「そう。僕はレースの以外は持ってない、ってな話じゃないんだよ。君の話をしてるんだ」
「私はレースのブラは持ってません」
「そうじゃなくて君はいつもブラジャーをしないのか？」
「私がノーブラだと誰かが何か迷惑するのですか？」
「いや、大いに結構なんだけども、例えば僕が刺激を受けて君を襲ったりしたらどうする？」
「襲ったりってレイプのことですか？」
「まあ、そういったこと」
「そうしたら抵抗します。そしてその後警察に行きます」
「なるほど」
「貴方は私をレイプしようと考えているのですか？」
「いや、別にそうじゃないけど、男と２人きりで家の中にいるんだからもう少しその辺考えた方がいいんじゃないかと思って」
「貴方は何か武術をやりますか？」
「武術？」
「空手とか柔道とか」
「ああ、そういうのは何も知らない」
「それなら多分私の方が強いです。私は空手初段ですから」
「え？ 空手初段？」
「そうです。貴方、私にレイプされないように気を付けなさい」
「へ？」
「私は前の部屋ではいつも裸で過ごしていました。パンティも何もかも脱いで全部裸でした。でも此処ではちょっと考えて服を着ています」
「なるほど、それでも自分なりに考えてはいる訳だ」
「はい」
「洗濯機と冷蔵庫は取りあえず使っていいから」
「はい。それから友達とかいろいろ取り決めしておきましょう」
「友達とかって？」
「私はボーイ・フレンドをこの部屋に連れて来ません。だから貴方もガール・フレンドを連れて来ないで下さい」
「連れて来たくともガールフレンドなんていない。自慢になんないけど」
「電話は私がかける場合は外から掛けますけど、友達からの電話は取り次いで下さい」
「ああ、それくらいはいいけど」
「私の友達にはコール・サインを使って掛けるように言いますから、そういう電話は取らないで下さい」
「コール・サインって何？」
「１回鳴らして切ってまた直ぐ掛けます」
「ああ、そういうのか」
「そういう電話は私が取ります」
「うん、まあそうだな」
「ラジオやテレビの音量は余り大きくしないで聴いて下さい。男の友達を連れてきた時は１０時までには帰して下さい」
「うーん。君の言うことは大体まあ常識的なことだからそれはいいんだけど、取りあえず１０日間なんだから、そう余り細かく取り決めることも無いんじゃないか？」
「いいえ、例え１日でも共同生活ですから」
「それじゃ分かった」