第一話-1
初客が来て、一週間が過ぎた。
森埜ひとみ嬢が、当店を口コミで広めてくれているかなと思ってるが、なかなか次の客は来ない。
そりゃそうだろう。
こんな趣味を持ってるなんて、ライバルでもある同僚には話せるわけがないだろうから。
ああ、やっぱりこんな商売、難しいのかなと思い、少し心配になっていたところ、彼女から予約メールが入っていた。
「先日はお世話になりました。また、ちょっと遊んでみたいと思ってます。
〇月〇日の〇時に行きたいのですが、ご都合よろしいですか?」
前回、少しやりすぎたかなと思った反面、僕自身は彼女への嗜虐心を満たしてはいなかった。
商売上はこれでよかったのかもしれないが、彼女の再訪は嬉しいことだった。
そんな風に思いながら、彼女の来訪を心待ちにしていたら、玄関のチャイムが鳴った。
「こんにちは。もう我慢できなくなっちゃいました。」
上品に笑いながら、彼女は挨拶する。
「先日はありがとうございました。で、早速またご来店、重ねてお礼申し上げます。」
僕がそう言うと、
「いえいえ、楽しんだのは私の方だから…。」
と、さらにまた笑みを浮かべた。
さすが現役のアイドル、美しい笑顔だ。
さあ、このお嬢様をどのように今日は調教しようかな、と考え始めることにした。
でも、前回の後、次来たらどうしてやろうとか考えていたわけではない。
「次はもっとハードなメニューでいきますから」
なんて、偉そうなことを最後に言ったわりには、何もプランを持っているわけではない。
ちょっと困ったなと思いつつ、彼女を部屋に通し、話を聞いてみることにした。
「どうでした? 前回お遊びいただいて。」
こう問うと、少し目をトロンとさせて、彼女は答えてくれた。
「ずっと想像していたこと、現実にやってみたら、鮮烈に記憶に残っちゃって…。
いろいろ思い出すだけで興奮してきます。
もう、毎晩のオナニーのネタには事欠いてません。」
恥ずかしそうに笑いながら、こう言った。
「ご満足いただけたみたいで嬉しいですね。」
「ええ、もう…。正直、あれから回数は増えました。
公演前にも楽屋のトイレでしちゃったことあったな。」
「そ、そりゃお盛んで…。」
笑いながらの大胆な告白に少し戸惑いながらも、前回満足してもらったなら、無難に行こうかなと思い、
「じゃ、今日は前回と同じような感じで進めたらいいですか?」
こう聞くと、彼女の口からは意外な答えが返ってきた。