覚醒-3
意識がはっきりしてくると、優里は下着を身に付け、Aの部屋を後にする準備をした。
A『受け取れ。』
Aは封筒を優里に差し出した。
報酬額が今までとは違う領域にあることを
その封筒の厚みが視覚的にも表していた。
優里はマンションを出ると、封筒の中を確認した。
恵美の言っていたことは本当だった。
そこにはきっちりと500万円の現金が収められていた。
優里はさっきまでの出来事が脳裏から消えていくのを感じていた。
『これは自分が犠牲になった代償だ』
優里は封筒をバッグにしまうと、Aのマンションを後にした。
それから、優里はAの報酬とその行為に依存した。
手にした報酬により、やがて優里は生活そのものすらも変わり
必要以上に人と関わりを持たなくなっていった。
あれだけAを憎んでいた優里ではあったが、今はAと報酬だけが唯一自分を裏切らない存在として君臨していた。
私は間違えていない・・・
自分を犠牲にして手にしたお金だから・・・
私は・・・間違えていない・・・
優里は覚醒した。