乗り込む彩花-4
「ちょっと待ってよ!この格好で行くつもり?」
潤は空いている手を伸ばして彩花の短いスカートを掴んだ。
「あっ!」
彩花は自分の肢体を見下ろして声をあげた。身に付けているのは下半身モロ出しの短いスカートだけで、全裸と言っていいほどだった。彩花は慌ててリビングに戻った。
「潤もさっさと着なさい」
潤の手首を放して、彩花は服を着始めた。さすがにスカートは自分のミニスカートに穿き替えたが、感情の高ぶった彩花に、まだ冷静さは戻ってこなかったのか、薄手のブラウスの下はノーブラのままだった。
腕を放された潤は脱衣スペースに向かい、用意してある替えの下着とジャージの上下を手に取った。
(しまったなあ。早く進め過ぎたかな…)
その外見と人の善い性格から、息子の潤さえも、彩花をおっとりしているように見がちだったが、本当は頭の回転の早い女だった。
禁断の行為にのめり込ませながら、真奈美達との乱交を仄めかすつもりだったが、彩花の予想外のエロさに少し性急にことを運び過ぎてしまったようだ。下着を穿きながら対策を考えようとしたが、着替えの終えた彩花が脱衣スペースに顔を覗かせた。
「早く着なさい」
「待ってよ」
ジャージのズボンを穿きながら答えたが、それを穿いたところで、イライラと待ち兼ねた彩花が潤の手首を掴んで引っ張った。
「上は行きながら着なさい」
否も応もなかった。手を引かれた潤は慌ててジャージの上を掴んで、ばつの悪い表情を浮かべながら彩花の後に続いた。
(母さん、ノーパンのままだ)
玄関で靴紐を結んでいるときに、潤はそれに気づいた。掻き出し損ねた潤の精液が、潤の目の前の彩花の太ももを伝い降りていったのだ。
(ラッキー♪)
怒りの余りの穿き忘れだろう、潤はこれを吉兆と捉えた。
「母さん、夜にいきなり押し掛けても迷惑だよ。そんなことより、もう一回しようよ」
取り敢えず、翻意を促そうと思った潤は、彩花のスカートをチラリと捲った。しかし、その手は直ぐにパシリと叩かれてしまった。
「そんなことであたしの気が収まるとでも思ってるの!」
「ひえっ!」
凄い剣幕に潤はたじろいだ。
「行くよ!」
促されるまま、家を出るしかなかった。
家を出た彩花は、ズンズン歩き始めた。
(凄い揺れ具合だ!ノーブラのまんまだと、いつもの10倍エロい)
美味しそうに弾むポッチリに、思わず手を伸ばそうとした潤だったが、寸でのところで理性を働かせた。
(ヤバイヤバイ。これ以上刺激したらどうなることやら。しかし、まずったぞ。この状況を伝える術がないぞ)
スマートフォンを手にする時間もなく強引に連れ出されたため、真希に状況を伝えるメールもできなかった。
真希の家に到着するまで、潤はただ、すれ違う男達と同様に彩花の弾む胸を見ているだけしかなかった。
真希の家に着いた。
(インターフォン越しに、緊急事態を伝えるしかないな)
しかし、潤の考えはあっさりと覆された。どこから出したのか彩花は鍵を取り出すと、玄関扉の鍵穴に差し込んだ。