乗り込む彩花-3
「ウソ…」
一瞬、頭が真っ白になりかけたが、直ぐに気を取り直した。
「ど、どうやって手に入れたの?ネットとかの変なの飲んでるじゃないでしょうね!」
心配になった彩花は潤の腕を掴んだ。
一時期、生理不順で悩んでいた彩花は、ピルを飲んでいたことがあった。副作用が心配で信頼の置ける医師を探して処方してもらった経験があるため、ピルの服用には敏感だったのだ。
「大丈夫だって。真希ちゃんのお母さんと一緒に行って、産婦人科で処方されたヤツ飲んでるから」
その産婦人科の医師も夫婦共に矢野の乱交仲間だ。エロいが腕は確かな名医との評判で、看護師も美人揃いだった。奥さん公認の看護師もかなりのエロさで、奧さん共々いつも潤を取り合ってくれていた。
「えっ?今なんて言ったの?お『母さんと一緒に』ってどういうこと?」
彩花は潤の腕を掴む手に力を込めた。
「うっ…、そうだよ。未成年だから保護者同伴で行ってるんだよ」
痛みを堪えながら潤は答えた。
「そ、それって、生理不順とかホルモンバランス改善のためだよね」
彩花は念のため確認した。
「えっ、なにそれ?避妊のためだよ」
ピルに避妊以外の用途があることを知らなかった潤は、彩花の迫力に押されて正直に答えた。
「どういうこと?」
そうつぶやいた彩花の脳裏で今日1日のことが駆け巡った。
先ずは潤との近親相姦を疑われ、その後に何度もそれを印象付けられていた。さらには真希の妊娠を盾に潤を誘惑するように仕向けられた。
「まさか…」
彩花の脳裏にある可能性が浮かんだ。
「も、もしかして、真希ちゃんて、家族でセックスしてるってことはないでしょうね。ほら、お父さんとか…」
恐る恐る聞いた。
「よ、よくわかったね」
彩花の真剣な目で見つめられた潤は正直に答えた。
「ま、まさかだけど、潤もそれに参加してないよね?」
また潤の腕を掴む手に力が入った。
「そうだけど…」
本当は彩花と何度も行為を重ねながら、徐々にこのことを伝えるつもりだったが、彩花の方が気づいたためその流れに乗ることにした。
「だから、母さんも一緒に…」
その潤の言葉を彩花は聞いていなかった。
「あの女め〜〜〜」
歯を食い縛り、絞り出すように言いながら、掴んだ潤の腕に爪を立てた。
「痛い痛い痛い!」
痛さの余りに彩花の手を振り払った潤だったが、それもつかの間、スッと立ち上がった彩花に再び手首を掴まれた。
「来なさい!」
感情の高ぶった彩花の力は強かった。小柄の身体のどこにそんな力があるのか、潤を引っ張りあげて立たせた。
「ど、どこに…」
彩花の剣幕に、潤は恐る恐る聞いた。
「あの女のところに決まってるでしょ。真希の母親の真奈美のところよ!」
彩花は潤の手首を掴んだままズンズンと玄関に向かった。