美雪-18
哲治は女の子にもてるけれども、実は優花以外の女性を知らない。優花以外のガールフレンドも沢山いるが、それはあくまでも高校生らしいさわやかな付き合いでしかない。哲治は優花以外の女の子と深く付き合いたいとも思わなかった。二人はちゃんと避妊には気を付けながら、逢うたびにセックスする仲なのだった。
今日も中野駅の北口にあるホテルに入った。此処はラブホテルというよりもビジネスホテルという雰囲気で、優花のお気に入りだった。妖精のような雰囲気の優花は服を脱いで裸になると一変してアメリカの雑誌に出てくるようなピンナップ・ガールになってしまう。それ程メリハリのある素晴らしい体をしている。大柄でのびのびと手足を広げた体はどこを取っても理想的な形をしていてとても高校生には見えない。
恥丘の盛り上がりの曲線が何とも言えず美的である。そこに生えている毛は長いのに疎らで、まるで霞のように見える。それに生えている部分の面積が僅かでしかないから、小さなビキニでも恥毛の処理など必要ないように見える。
女性の股間をキャメルトゥと言うが、優花の股間はそういう言い方がぴったりするほどたくましい立体感を見せている。性器の襞は全部埋没していて外見はただの縦筋でしかないのだが、凹凸が十分なので幼児の性器には見えない。縦筋から湧き出してくる液体は潤沢で、哲治はいつも愛撫なしにすんなり優花の中に入り込むことが出来る。
哲治は優花とセックスするとこの素晴らしい体を征服するというよりもこの素晴らしい体の一部に自分が溶け込んでしまうような満足感を覚える。優花の性器を通して哲治の体が優花の中に吸い込まれてしまうような完全な一体感を感じるのである。だから優花とのセックスに技巧は要らない。唯自分の性器を優花の体の中に埋め尽くすだけで哲治は完全な満足を覚えるのである。そしてひたすら長時間そのままの姿で一体となっていたいと願う。下から抱きしめてくる優花はまるで菩薩か聖母マリアのように優しい。優花と抱き合っていると哲治は二人がまるで軟体動物になって溶け合ってしまったように感じる。何処もぶつかり合うという感触がせずに二つの粘土の塊が一つになってしまうような、そんな感じがするのである。
「お兄ちゃん、何書いてるの?」
「人の部屋に黙って入ってくるな」
「声を掛けたわ。聞こえなかったの?」
「聞こえなかった」
「何をそんなに夢中になって書いてるの?」
「ラブレターだ」
「ラブレター? 何それ」
「何それって、お前ラブレターを知らないのか」
「それくらい知ってるけど、何で手紙なんか書くの? 電話するか会うかすればいいんじゃない」
「外国にいるのに気軽に電話なんか出来るか」
「外国?」
「ああ」
「アメリカ?」
「お前外国っていうとアメリカしか無いと思ってんのか」
「何処?」
「イタリア」
「イタリア人?」
「馬鹿。俺がイタリアにいるイタリア人とどうやって知り合うんだよ」
「だからナンパされたのかと思って」
「イタリアにいるイタリア人がどうやって俺をナンパするんだ」
「だから日本にいたイタリア人が国に帰ったのかと思って」
「俺は国産愛用主義者なんだ」
「そうすると誰か友達がイタリアに引っ越したの?」
「そうじゃない」
「それじゃ旅行?」
「まあそうだ」
「旅行なら直ぐ帰って来るんでしょ?」
「まあそうだ」
「それなのに手紙を書くの?」
「悪いか? 手紙を書いてくれって頼まれたんだ」
「相手は誰?」
「誰でもいい。俺の友達だ」
「それはそうでしょう。同じ学校の友達かと思って聞いたの」
「違う。お前の好きなピンクのセーターだ」
「あっ、あの人か」
「ああ」
「本当?」
「お前に嘘ついてどうなる」
「心配でしょう?」
「何が」
「あんな美人だもん。イタリアのプレイボーイに誘惑されるよ、きっと」
「ふん、大きなお世話だ」