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妙子
【その他 官能小説】

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妙子-19

 「でも乳首だけ大きくても厭なんでしょ?」
 「当たり前のこと言うな。裾野が無くて乳首だけデカかったら気持ち悪いだろ? そんなの単なるイボじゃないか。イボ吸ってどうすんだよ、イボ吸って」
 「もう少し散歩する?」
 「そうだな。ちょっとチャミセに入って休むか」
 「チャミセって?」
 「あそこがいいだろ」
 「此処喫茶店だよ」
 「そうだ」
 「私ちょっとパット取り替えて来る」
 「パットって何だ?」
 「生理のパット」
 「馬鹿。そんなの言わないでいいんだ。トイレに行くと言えばいいんだろ」
 「うん。待っててね」
 「コーヒーも出てこないのに帰る筈無いだろ」
 「だからコーヒー出てきても待ってて」
 「そんなに時間がかかるのか?」
 「ううん、直ぐ」
 「それじゃ心配するな。ついでにおしっこもして来い」
 「うん、そのつもり」
 「何ならうんこもしてきていいぞ」
 「うんこはそんなに簡単には出ないよ」
 「こら、ご婦人がうんこなんて言うんじゃない」
 「おうんこって言うの?」
 「そういう言い方は余り聞かないな。うんこさんとか何とか言うんだろうな」
 「じゃ急いで戻って来るから待っててね」
 「ああ」



 「お待たせ。あれっ、どうしたの?」
 「ウェイトレスがな、ガッチャンと置いて行くんで俺のズボンにコーヒーがかかったんだ」
 「あらー、染みになってる」
 「それで店長が来て頭下げてんだけどもお前どう思う?」
 「誰がそんなことしたの?」
 「あそこで向こう見て立ってる女がいるだろ」
 「私がひっぱたいて来てやる」
 「まあいい。そんなことするとお前の手が汚れる」
 「何て女なんだろ」
 「サービス業も地に落ちたもんだな」
 「誠に相済みません。クリーニング代は出させて頂きますので御勘弁下さい」
 「クリーニング代出すのは原状回復義務だから当然だな。それだけか?」
 「いえ、あの、どうしたらいいでしょうか」
 「あの女を此処へ寄こせ」
 「はあ、でも」
 「いいから寄こしなさい」
 「はあ」
 「あのー、何か用ですかあ?」
 「ああ、其処へ手を付いてくれ」
 「其処って?」
 「其処だ」
 「床?」
 「それは天井とは言わんだろうな」
 「何で床に手を付くんですか?」
 「お前可愛い顔してるって男に言われたこと無いか?」
 「ああ、良く言われますけど」
 「そうだろ。それがカギザキだらけになったらどう思う? カギザキって知ってるか?」
 「ギザギザの縫い目でしょ?」
 「そうそう。そういうお顔になりたいんですか?」
 「私が?」
 「そう。ほら、此処にショート・ケーキに付いてきたフォークがあるだろ? こういうのは見てくれはいいんだが良く切れないから、これでギコギコやると治ってもカギザキみたいな顔になっちゃうんだ。何度もやったことあるから経験的に俺は知っておるんだがね」
 「え?」
 「そういう顔になりたか無いだろ?」
 「はい」
 「俺もお前みたいな可愛い顔をピカソの絵みたいにしたくは無いんだよ。だからだな、そんな悔しそうな顔してないで其処に手を付け。馬鹿、柔軟体操しろって言ってんじゃない。膝を折って手を付くんだ。そうそう、それで申し訳ありませんでしたって言ってみろ」
 「申し訳ありませんでした」
 「良し。それじゃ許してやる。あっちへ行け」
 「あの、これクリーニング代です。お納め下さい」


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