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魔へと溺れユく女タチ
【ファンタジー 官能小説】

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セイン・アルバート(後編)-7

セインとシイナ。それにリナが肉欲に溺れる姿を遠くから見守る人影があった。

人型ではあるが紫色の肌をしており、顔もあるが目や鼻や口が存在しないのっぺらぼうのような存在だ。
それは魔城の主であり、人が要望のまま溺れていく姿を見るのを楽しんでいる悪魔。
前まではより人の姿に似せ、肌こそ紫色を帯びている青年のようになっていたが・・・。
エリザやシャリィ達も城での生活に馴染み、この姿でも不安がられたりしなくなったので悪魔本来の姿に戻るようになった。



「・・・あれ?城に戻ったんじゃないんですか?」

「流石に様子が気になってね。リナ、と言ったかな?彼女を見にきたよ」



隠れていたワケではないので、周囲の様子を見て回っていたシャリィに気づかれる。
悪魔に心を完全に委ねてしまっている彼女は、悪魔に甘えるチャンスを見つけたと言わんばかりにすり寄って身体を預けた。

悪魔の方も自然な動きでシャリィの腰へ腕を回し、やさしく抱き留める。



「そういえば・・・リナちゃんはどうしてあんな姿になってしまったんですか?」

「んー・・・元気なかったからワタシなりに励ましたんだけどね。気がつけば魔に墜ちちゃった」

「えっと・・・狙って堕とした、とかじゃないんですか?」

「そうだなぁ・・・。何か面白い事起きないかなと彼女に『彼が手に入らないなら奪えば良い』とか適当に囁いただけなんだけれど。
それが気がつけば悪魔・・・というか小悪魔になってしまってね」



人は不思議な現象にまみえた時、神や天使へと昇華する事がある。
逆に悪魔や鬼など、魔に墜ちる事も。

しかしそういった事は魔力に満ちた世界でも童話の中の話しの出来事がほとんどで実際はほとんど起きた事が無く、リナを狙って小悪魔へ下手上げたワケではなかった。



「ワタシのような純粋な悪魔ほど力はないようだが・・・ワタシに影響されたのか似た力を持っているね。ほんの少しだけど身体の変化や、心を操る魔法なんかが使えるようだ」

「やっぱり・・・。少しばかり隊長さん、変わりましたもんね。けど貴方は心を操る魔法は好きじゃないって・・・」

「それは個人の拘りなだけさ。魔法で操っても大きな人形ができあがるだけだし」



人間は大きな力を得ると間違いを起こしやすい。
なのでリナの事が心配になったが・・・特別大きな力をったワケではないようだ。

リナが思いを寄せるセインが再び性欲に正直になったのは・・・シイナの痴態を見たのがきっかけだ。
雰囲気に流されやすい場所をシャリィに用意されたが、性欲に溺れたのはあくまで彼の意思。
そこに悪魔もリナの力も使われていない。

だからこそ、セインを独占したいリナも少しだけシイナを受け入れた。
おそらく、強い力を得ても自分の魅力で彼をモノにしたいのだろう。

けれどセインの一番になりたいというリナの気持ちはとても強い。
その気持ちだけで魔へと墜ちてしまう程なのだから。

だから彼女は・・・外見こそ変わらないが中身をセイン好みに変えて。
心を操る魔法で大きな変化こそさせなかったが、リナを愛おしいと思う気持ちを増幅させた。

気持ちを増幅させたのは元から愛おしいという気持ちがなければできなかった事だが・・・リナは気がついているのだろうか。



「やはり人間は面白い。ワタシの想像していなかった事をしてくれる」



大まかな流れこそ変わっていないが、そこまでの課程が悪魔の想像を超えていく。
結果だけでなく課程も大事にする人間らしく、見ていて飽きが来ない。

悪魔はこうやって人間の墜ちていく様を見物して楽しみながら。
また少しずつ人間が魔に支配されつつあった。


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