みどり-5
「これにしろ」
「これ?」
「厭か?」
「これってまるきり透けてる」
「いいじゃないか。誰に見せる訳でもないんだから」
「陽ちゃんに見られる」
「俺が見たらいけないのか?」
「ううん。でも恥ずかしい」
「恥ずかしい? 俺達セックスしたんだろ?」
「うん。でも見られるのって恥ずかしい」
「良し。帰ったらお前裸にしてずっと見てやる。厭なら此処からお前帰れ。言うこと聞かなくてもいいって言ったけど、これくらいのことが聞けなかったら俺は厭だ。我慢出来ない」
「何処に帰るの?」
「何処にってお前んちに決まってんだろ。何処に行ってもいいけど」
「ううん。見られてもいい」
「そうだろ。セックスしといて見られるのが厭だなんて妙なこと言うなよ。それじゃこれを穿いてこい」
「こんなの穿いたの初めて」
「これから下着買う時はこういうのにすんだぞ。何時までもお子さまパンツなんか穿いてんなよ。赤とか黒とかTバックとか男が喜びそうなパンツ買うんだ。それくらい何てことないだろ、人に見せるもんじゃないんだから」
「うん」
「良し。それじゃメシ食ったら帰ってセックスだ」
「うん」
「今晩どうする?」
「どうするって?」
「陽ちゃんの家に泊まる?」
「会社休みなんだろ?」
「うん」
「だったらゴールデン・ウィークが終わるまでずっと俺んちにいればいいじゃないか」
「だったらうちに戻って服を持って来ようかな」
「そんなもんいい」
「でも」
「俺の服貸してやるよ」
「うーん」
「厭なのか」
「そしたら帰りに紙オムツ買わないと」
「あ、そうか」
「ご免ね」
「別に謝ることは無い」
「此処なら売ってると思うから、ちょっと待ってて」
「待て。ほら」
「お金なら持ってる」
「違う。浣腸も買って来い」
「え?」
「取りあえず買うだけ買っておけよ」
「いくつ?」
「それで買えるだけ」
「うん」
「買ったか?」
「うん、これ」
「浣腸を買ったか聞いたんだ」
「ああ、中に入ってる」
「いくつ買った」
「1つ300円だけど5個で1000円っていうのがあったからそれを買ってきた」
「5個?」
「うん」
「良し良し。良くやった」
「やっぱり浣腸するの?」
「いずれな。それ持ってやるよ」
「重くないからいいよ」
「いいから貸せ。女に荷物持たせる訳にはいかない」
「優しいんだね」
「そうじゃない。男が手ぶらで女がデカイ荷物持ってるなんてみっともないだろ」
「そう?」
「そうだ。お前なんか知らないけど落ち着かない様子だな」
「うん。私下着が気になって」
「何が?」
「こんな小さいの穿いたこと無いから」
「お前ミニスカート穿いてノーパンで歩いたことある?」
「無い」
「そんなことも無いのか」
「陽ちゃんはあるの?」
「何で俺がスカート穿くんだよ」
「違う。他の女の子とやったことあるの?」
「あるよ。そんなのは恋人同士なら普通にやるぜ」
「どうして?」
「ちょっとした遊びだよ。見られたらって思うとスリルあんだろ?」
「それくらいなら私でも出来そう」