あなたのキスを数えましょう。-1
あなたからの着信音。
不安が胸をよぎる。
「別れよう」
たった一言なの。
幕を降ろすのに言葉はいらないの。
滲む景色。
予感はしていたの。
私じゃダメなんだって。
あなたの笑顔、無理して笑ってた。
あなたの時計は止まったままだったの。
守れない約束がカレンダーを汚している。
叶えられない約束の欠片が胸に刺さる。
だから、
あなたのキスを数えましょう。
ひとつひとつを。
忘れたくないから。
記憶を辿る痛みも
今は愛しく思えるよ。
だから、
涙とともに数えましょう。
あなたに出会わなかったら
こんなに傷つくこともなかった。
始まりからぎこちなかったね。
二人の道はそれていったのに気が付いていたよ。
私はあなたじゃなきゃダメだって信じていた。
もちろんあなたも……
夜の孤独が眠りを忘れさせる。
私は明日は何をしたらいいの。
答えはないよね。
返事をほしがっちゃダメだよね。
何で孤独を埋めたらいいの。
近くにいすぎて
独りを忘れてしまったわ。
最後に
あなたのキスを忘れましょう。
戻れないんだね。
いつかの笑顔も
泣き顔も
あなたがくれた思い出も
キスも。 サヨナラ。