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魔へと溺れユく女タチ
【ファンタジー 官能小説】

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シャリィ・レアリル-7

城に戻ってからしばらく、部屋に引きこもる日々が続いている。
こんな状態の女を相手してもつまらないのか悪魔の性欲処理に付き合わせられる事もなかった。

けれど日に何度も顔を見せては「やぁ元気かい?おっと。まだ落ち込んでるみたいだから今日も止めておこう」とか言って冷やかしには来ている。
誰のせいでこんな状況になっていると思っているのか。

悪魔のニヤケ顔を見ていると少しイライラしてきた。



・・・気がつけば、意識を失うように寝ている事が多かった。
それ以外は悪魔に冷やかさられるか、窓の外を見ながらぼーっとしているだけの日々。

けれど今日は目を覚ますと・・・いつもと違っていた状況だった。
居場所は私に与えられた部屋のままだが、エリザの膝の上で目を覚ましたのだ。
目を覚まして一番最初に見たのはエリザの穏やかな顔。
見慣れた、エリザの顔だ。



「もー、最近全然ご飯食べてないんだって?食べさせてあげるから起きた起きた!」



目を覚ましたのに気がつくとエリザは私の身体を優しく起き上がらせた。
そして机に置いてあったスープを手に取るとスプーンで私の口元に持ってくる。

・・・風邪をひいて寝込んだ時の事を思いだした。
その時もこうやって面倒を見てくれて、スープを呑ませてくれたのだ。

スープは冷め切っており味もしなかったが・・・美味しい、と思った。
単純な物だ。味がなくても優しさに触れるだけで美味しく感じるのだから。


私の知るエリザはもういない。
目の前にいるのは暇さえあれば性欲に駆られ、雄なら相手は誰でもいいといった体の雌。
けれど、私の隣に座ってスープを呑ませてくれているのも確かにエリザだ。

色々と変わってしまったが今も優しく、雄に好き放題されているとは思えないほど美しく。


・・・どれだけ変わってしまったとしても私はエリザが好きなんだ。
エリザの隣に座り、彼女につい見とれてしまいながらそんな事を思った。


これからどうすれば良いのか分からない。
けども、こうして誰かを好きだという事に気がつけると少しだけ生きる活力が沸いてきた気がする。



「ねぇエリザ」

「なーに、シャリィ?」

「キス、していい?」



私はエリザの事が好きだ。
エリザの全てが欲しい。

こんな感情になるのは久しぶりな事だった。
ちょっと前までは自分以外の誰かと会話してるだけで嫉妬したくなるほど彼女を求めていたというのに。

変わってしまったのはエリザだけでなく自分もかもしれない。
エリザが他の誰かに抱かれているのを見ても、私は見ている事しかできなかったのだから。

私がエリザの事を好きだというのならどんな手を使ってでも奪い返さないといけなかった・・・!



「・・・いいよ。シャリィが望むのなら」

「エリザ・・・!」



私の愛にエリザは応えてくれた・・・!
どうしようもなくあふれ出す感情に我慢できなくなってエリザをベッドに押し倒してしまう。

そのままエリザの唇へとキスをする。
感情が止められなくなって勢いのまま舌まで入れてしまった。

エリザも私に応えて舌を絡めかえしてくれる。
獣のようにエリザの舌を貪り、エリザの熱を強く感じて・・・。


ふと、唐突に冷めた感情が沸き上がった。



「え・・・?」



つい、エリザから唇を離してしまう。
唐突に背中に寒気のような物が走ったのだ。
私はその寒気に驚いて、体が固まってしまった。



「どうしたの?もう終わりでいいの?」

「あ・・・」



冷めていたのは私の背筋だけじゃない。
エリザの顔も・・・とても冷たく、冷え切っていた。

口元は私とのキスで涎が垂れて、色っぽさを感じるというのに・・・。
表情がとても冷めている。

いつもなら私とキスするだけでエリザも幸せそうな顔をしてくれた。
舌を絡めて求め合えば、いつしかお互いにトロけた顔をしていたはずだ。

・・・そうだ、今の違和感は・・・。
エリザは私の舌の動きに合わせてくれたけども、積極的な動きではなかった。
仕方ないから相手していると言わんばかりの最低限の動き。

私はエリザから熱を感じる事ができなかった。
そのせいかエリザとのキスがとても無味な感じがして・・・一度は湧き上がった熱が冷めていくのを感じたのだ。



「少しは元気出た?ご主人様にエリザを元気つけてくれって言われたのだけど」

「あ・・・あ・・・」



ご主人様に言われたから。
悪魔に言われたからエリザは仕方なく、私の様子を見に来て面倒を見ていた。

エリザは私のために来てくれたのではなかった。
エリザは私のために優しくしてくれたのではなかった。
エリザは私のためではなく、悪魔のために私に接する。
私のエリザは大きく変わり、私たちの関係がこんなにも壊れてしまっているとは思わなかった。



「あぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!!」



けれど一番壊れてしまったのは自分だと思う。
改めて、心の拠り所を完全に壊されてしまったのだから。

さっきまでのように何も考えず頭が真っ白になる事もできない。
いろんな感情・・・恐怖、絶望、悲しみなど色んな物が湧き上がってくる。

エリザとの思い出が一つ一つ出てきてはそれを壊されている気もする。

私はただ悲鳴をあげて部屋から飛び出す事しかできなかった


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