エリザ・ヴィーリス-2
エリザが目を覚まして最初に見たのはシャリィの優しい微笑みだった。
同じ女性でもその微笑みに姉のような母のような暖かさを感じ、心がとても癒やされていく。
「おはよう。エリザ。今日も可愛い寝顔だったね」
「・・・あんまり、じろじろ見ないでよ」
気恥ずかしくなってしまいそっぽを向いてしまった。
シャリィはそんなエリザに後ろから抱きつき、優しく首元にキスをする。
お互い、裸の状態で。
暖かい布団に包まれているとはいえ昨日の夜に行為をしてからそのままの状態だ。
「やめてよ、恥ずかしいから」
「ホントにやめてほしいの?私はもっとエリザにくっついていたいのだけど」
「・・・あたしも、シャリィと一緒にいたいけどさ」
シャリィはエリザに対してだけ少し意地悪だ。
とても優しくて穏やかな性格なのだけども、エリザに対してだけは彼女の困った姿が見たいとちょっとした意地悪な絡み方をしてくる。
エリザの恥ずかしがったり困惑するような表情を見るためにイタズラをしたり。
少しばかり困った性を持ってしまったシャリィに翻弄されて戸惑うエリザだったが、特別愛されているとも受け取れるので悪い気はしていない。
「もっとエリザとくっついていたい・・・。それなのにしばらくお預けとか神様は残酷だわ」
「そうね・・・けど、その神様のおかげで癒しの奇跡とかが使えるんでしょ?」
「うん・・・。エリザの役に立つためにもお祈りとか頑張ってくる。・・・浮気しちゃダメよ?」
「シャリィこそ。シャリィは綺麗だし、男にも女にも魅力的なんだから」
「そんな事言ったらエリザだって。気が強そうに見えて女の子らしかったり、そんなギャップを見せれられたらたまらないわ。昨日の夜だってそれで我慢できなくなったし・・・」
「も、もういいから!」
攻めと受けで分けるならシャリィが攻めで受けがエリザだった。
日常や冒険ではエリザの方が攻撃的だったり積極的だったりするけども、夜の事に関してはシャリィにされるがままだ。
ギャップというならシャリィだって大概だ。
人前ではとても穏やかだというのにエリザに対してだけは熱く、求めてくるのだから。
そんなシャリィだが、今日から一週間ほど教会の巡礼に付き合ってエリザ達の拠点としている街から離れてしまう。
可能ならエリザから一時も離れたくないシャリィだったが、この巡礼を止めるワケにもいかない。
僧侶として神様への祈りは欠かせないし、年に一度は巡礼に参加しないと教会所属の僧侶として認められなくなってしまう。
「まだ朝も早いし・・・もう一回だけしよ?エリザ」
「・・・エッチ」
「うん、私はエッチなの。そんな恥ずかしそうに顔を赤らめられたら我慢できないわ!」
「や、ちょ・・・シャリィ!」
シャリィに身体の向きを変えさせられ激しくキスをされてしまう。
口の中にシャリィの舌が入り込んでくる感触に戸惑い、頭が真っ白になる。
身体が熱く火照り、真っ白になっていく頭で考えられるのはシャリィの舌の感触だけ。
なんとかシャリィの舌に応えるように絡み返すがほとんどされるがまま。
けども、全然嫌じゃない。シャリィに求められるのが凄く嬉しい。
あたしはシャリィほど女性の魅力がない。
自分に自信がなく、どうしようもなく不安になるのだけど彼女がこうして求めてくれる事に安堵を覚える。
あぁ・・・とても愛してくれている・・・。
「んっ。ふっ・・・ふぁ・・・」
「んっ・・・!っ・・・ぁ・・・っ!」
どれくらいの時間がたったのか分からないが、自然と唇が離れる。
目の前にあるシャリィの表情がとても妖艶で、普段のお淑やかな彼女からは想像できないエリザにだけ見せる特別な表情にとてもドキドキしてしまう。
「シャリィ・・・もっとぉ・・・」
「エリザも、エッチだ・・・」
いつも最初に求めてくるのはシャリィ。
けどエリザも一度流されてしまうと何度でもシャリィの愛情を求め、欲してしまう。
シャリィもこうしてエリザが求めてくれる事に安堵と愛おしさを感じる。
彼女もまた自分に自信があるワケではない。
自分とは違う魅力に満ちたエリザに自分が釣り合うのか。
内心ではとても心配しているのだが、エリザからも求めてくれる事でシャリィも安堵する。
私の想いは、一方的じゃないと。
こうなると二人はひたすら求め合う獣となる。
時間も忘れひたすらに絡み合って愛し合う。
気がつけば出発の時間ギリギリになってしまい。
出かける時間の頃合いになるとバタバタするのはいつもの事だった。