木花の母-1
寺井は列車に乗っている、木花が手紙と一緒に残していった唯一の木花の家族写真、その写真の裏に住所がマジックで書かれていた。
『もしこの住所が木花ちゃんの母親のだとしたら・・・』
記された場所は田舎の町だった・・・
寺井は、写真を頼りに聞き込みを開始した。
だが、誰も写真の女性を知らないようだった
『何で、ここの住所を書いたんだろ?意味わかんねぇ・・・』
気がつけば夕方だった・・・
腹を空かした寺井は、弁当屋を見つけた。
『うっわぁ奇跡だぁあそこで弁当買って仕切り直そう・・・』
寺井は弁当屋のメニューを見ていると、1人の女性の店員が現れた。
『いらっしゃい、決まったら声かけてくださいっ』
『あっはい、ありがとうございます・・・ん?』
寺井は内ポケットから写真を取り出し、女性店員と写真の女性を見比べた。
“写真の頃とは少し違った感じもするけど・・・似ている・・・”
『すいません、トンカツ弁当と冷たいウーロン茶をくださいっ』
『はぁい!そこのベンチに座って待っててくださいっ』
そして・・・
『はぁいお客さん、お待たせ980円ねっ』
『あっありがとうございます』
寺井は1000円札と写真を女性店員に渡すと、女性は笑顔から険しい顔つきに変わった。
『木花ちゃんのお母さんですね、僕は道警の捜査一課の寺井誠と申します』
『・・・もう少しでお店閉めますので・・・ここじゃなんですから・・・』
女性は小走りで店に戻り、寺井にお釣りを渡し、片付けにはいった。
そして女性は現在住んでいるアパートまで寺井を案内した・・・
『すいません、汚いですけど・・・どうぞ』
『いいえ、こちらこそお構い無く』
女性は寺井にお茶を出し、少しずつ語りだした・・・
『申し遅れました。私は、桜田佐知子と申します・・・旧姓に戻したんです』
『失礼ですが、やはり離婚なされたんですか?』
『いいえ、夫がそうしろと・・・写真の裏に記された住所は夫の実家なんです・・・今は家も取り壊されて・・・』
『5年前の事をお聞かせいただきますか?』
桜田佐知子は、お茶を口にし語った・・・