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満里子
【フェチ/マニア 官能小説】

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満里子-23

 「ズボンを何かに引っかけて破いたりしたら見えちゃうじゃないか」
 「ズボンを引っかけて破いたことがあるの?」
 「いや、今までは無いけどもこれからも無いとは言い切れない」
 「30年以上無かったことがこれからある訳がない」
 「そんなこと分からないさ。それに例えば交通事故に遭ったりしたらどうする」
 「はい、そっちの脚を上げて」
 「自分で穿くよ」
 「いいから。ほら」
 「そんなに引っ張り上げるなよ。玉が潰れる」
 「ほらあ、素敵じゃないの」
 「何処が素敵なんだ。これじゃオカマだよ」
 「オカマでいいじゃない」
 「ちっとも良くない」
 「赤だから女性用だっていうことは無いのよ」
 「あのね。これは間違いなく女性用だろう? 色だけじゃない。大体男はガードルなんて穿かないんだ」
 「あら、この間テレビで男性用のガードル見たわ」
 「それは何か特殊な奴だろう」
 「特殊なって?」
 「腹が出ている人の為とか」
 「だからいいじゃない」
 「僕は腹は出てない」
 「此処が出てる」
 「馬鹿。オンチンが出てるのは当たり前だ」
 「あんまり此処が膨らんでるとみっともないのよ。これで押さえると丁度いいわ」
 「ちょっと聞きたいんだけど、満里子は僕達が今にちゃんと結婚してもこんなことをするの?」
 「こんなことって?」
 「満里子の下着を穿かせるっていうことだよ」
 「そんなの当たり前」
 「ちゃんと結婚しても浮気防止なんて考えるのか?」
 「結婚したら浮気してもいいと思ってるの?」
 「いや、そういう意味ではない」
 「私の下着を穿かせるのは浮気防止ではないの。それが私の好みだからそうしているだけ」
 「これが満里子の好みなのか?」
 「そうよ。だから高くても下着にはお金を惜しまないの」
 「それはつまり自分が穿く場合のことだろう?」
 「いいえ、優ちゃんに穿いて貰うことも含めて選んでいるの」
 「これが?」
 「そう、これが」
 「ちょっと考え直そうかな」
 「何を?」
 「人生を」
 「何ですって?」
 「いや、独り言」
 「そんなこと言ってると上着まで私の服を着せちゃうから」
 「それじゃ全くオカマじゃないか」
 「そうよ。だから文句言わないの。下着くらいで」
 「全然理屈になってない」
 「何がよ」

 この頃には満里子との同棲生活も長くなっていて、優輝が妻の所に戻るという心配は殆どしなくなっていた。それでも相変わらず女性用の下着着用を強制したが、以前とは選ぶ基準が違ってきたような気がする。以前はなるべく派手でしかも古くなった物を選んだが、この頃では真新しい、満里子の好みの物を選んでいるような気がする。尤もやたらに派手でセクシーな物というのに変わりは無いのだから、付ける下着の見てくれが特に変わったというのではなかった。だから満里子の言うことが全部本音だということに気づかなかったのである。  


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