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耀子
【SM 官能小説】

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耀子-9

 「素晴らしい家ですね」
 「素晴らしいという程でもないさ」
 「たった一人でこんな広い家に住んでいるんですか?」
 「一人ではないよ。ジョイがいる」
 「え?」
 「あの猫さ」
 「ああ」
 「猫は嫌いかい?」
 「いいえ。大好き。動物はみんな好きです」
 「そうか。僕は犬は余り好きではないんだ。小鳥や熱帯魚なんかにも興味は無いし、猫だけだ」
 「猫がお好きなんですか」
 「そうなんだ。子供の頃は特に好きだということも無かったんだけど、どういう訳か40を過ぎてから猫が好きになった」
 「あの猫は先生が40の時から飼ってらっしゃるんですか?」
 「まさか。もうあの猫で何匹目になるか分からないくらい今まで沢山の猫を飼ったんだ」
 「それはみんな死んでしまったんですか?」
 「死んだのもいるし今でも生きているのもいると思う」
 「捨てたんですか?」
 「いや。もともと野良猫に餌を与えて懐いたというのも含めて沢山の猫を飼ったと言ったんだよ。だから僕が都合で引越しすればそいつらは又もとの野良猫になったという訳さ」
 「ああなるほど」
 「でも野良猫でも懐くと膝に乗って来て降りようとしないくらい懐くんだよ。僕の膝の上で安心して眠ってしまったりするしね。そうなるともう殆ど飼い猫みたいなもんだ。ただ家の中には入れないというだけで」
 「野良猫でもそんなに懐くんですか」
 「ああ。尤も汚れていても気にせずに頬ずりするほど可愛がるからね」
 「余程お好きなんですね」
 「うん、どういう訳かね。まあ其処に掛けなさい。立っていてはお茶も飲めない」
 「はい」
 「僕は前にも言った通り単なるプレイとしてのSMなんかしたくない。君の事が好きになって君と深い関係になればそれがSMプレイの形になるというだけだ」
 「はい」
 「君は僕のような年寄りと真面目に付き会おうと言うのかね」
 「それは何度も言いました」
 「そうだな。だけどどうしても信じられないのでもう一度聞くんだ」
 「何故信じられないのですか?」
 「君は美人だ。それに胸が大きい」
 「胸が大きいのは先生には好ましくても普通の人にはそうでないかも知れませんよ」
 「そんなことは無いだろう」
 「いえ。私のは少し大き過ぎますから」
 「過ぎるということはないさ」
 「いえ。既製服が合わないんですから」
 「ほう」
 「胸にあわせると他がダブダブになってしまうし、他にあわせると胸が入らないんです」
 「しかしそれは欠点とは思えないな」
 「ですからそれは先生の場合ですよ」
 「そうか。仮にそうだとしても君程の美人で若さもあればもっと条件のいい男を見つける事は簡単だろう」
 「先生は大事な点を忘れていますよ」
 「大事な点とは?」
 「ですからSMです」
 「ん?」
 「私は縛られて責められたいんです」
 「そうだったな。君はそういう経験があるのか?」
 「たった一度だけあります」
 「何故一回でやめたんだ」
 「私はもっとやって欲しかったのに彼の方にそういう趣味が無かったからです」
 「ほう」
 「彼は好奇心で私を縛ってセックスしてみたんですが、そういうのは彼の好みには合わなかったようです」
 「ほーう」
 「もともと下になるのが好きな人でしたから縛って私が動けなくなるとつまらないと思ったみたいです」
 「それで君の方は縛られて感じていたという訳か」
 「そうなんです。その時は珍しい事をしたから興奮しただけなのかと思ってましたけど」


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