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耀子
【SM 官能小説】

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耀子-26

 「まあ、とにかく最初にネグリジェを買おう」
 「それじゃ私は先生のパジャマを選ぶから先生は私のネグリジェを選ぶことにしませんか?」
 「勿論そうするのさ」
 「はい」
 「おい。何処へ行く。まずネグリジェを買うんだと言っただろ」
 「え? だから私は先生のパジャマを買いに行くんです」
 「馬鹿。一緒に選ぶんだ」
 「私に任せると言ってくれたんじゃないんですか?」
 「いや、だから僕のパジャマの選択は任せるけれどもネグリジェを買う時に僕のそばにいてくれなければ困るじゃないか」 
 「だってネグリジェは先生が選ぶんでしょう?」
 「そうだけどもそばにいてくれ。恥ずかしいじゃないか」
 「まあ」
 「何がまあだ」
 「こんな服着た私と昼間から一緒に歩いても恥ずかしがらないのに、ランジェリー・ショップで一人にされると恥ずかしいんですか?」
 「それはそうだ。その服着た君と一緒に歩いてもまさか変態だと思う奴はいないだろう。だけど女の下着屋で男の年寄りが一人で物色していたら警察に通報されてしまう」
 「まさか」
 「まさかじゃない」
 「それじゃ一緒にそばにいればいいんですね」
 「うん、そうだ」

 紀夫は色違いのネグリジェを3枚買った。デザインはどれも似たり寄ったりだった。透けているというだけで特に変わったネグリジェではなかった。尤もちゃんとした婦人下着ショップなのだから妙なデザインの物などは置いてないのである。それに紀夫の服装の好みは独特だけれどもネグリジェは極く普通のデザインの物が好きだった。耀子の選んだパジャマは有名ブランドのマークがそのまま模様としてあちこちに散らされている物と、もう一つはジャージのような生地の着易そうな物だった。しかし着易そうではあったが、それは見かけは何か新興宗教団体の信者の制服とでも言いたくなるようなデザインだった。

 「どうも君の趣味も突飛に近いね」
 「そうですか?」
 「僕の選んだネグリジェは極く正統的な物だろう」
 「だって、そういう物しか無かったじゃないですか」
 「それはそうだが、短い奴はあったよ。ベビー・ドールという奴」
 「ああ、そうでしたね。先生のことだからきっとあれを買うと思ってました」
 「ふん。服は短い方がいいんだが、ネグリジェは長い方がいい」
 「どうしてですか?」
 「部屋の中でネグリジェ姿で歩く時に長い方がセクシーで優雅に見える」
 「それなら普通の外出着だって同じだと思うけど」
 「いやいや、そんなことはない。外出着は透けてないんだから短かくなくては面白くないじゃないか」
 「なるほど。そういう発想なんですか」
 「そうだ」
 「それじゃ今度透けてるパンタロン穿いて来ましょうか」
 「透けてるパンタロン? そんなの持っているのか?」
 「持ってますよ」
 「あそこが透けて見える?」
 「何考えてんですか。そんな所まで透けてる訳ないでしょう。此処の所だけショートパンツみたいな裏地が付いているんです」
 「何だ、つまらない」
 「呆れた」
 「ネグリジェは肝心な部分まで透けて見えるから長くてもいいんだ」
 「先生の好みは変わっているから分かりません」
 「だから僕が選ぶから分からなくていいんだ」
 「私少しずつ荷物を先生の所に運んでもいいかしら?」
 「いいよ。僕の家に引っ越す気になったのか」
 「うん。何だかそうしたくなって来ちゃった」
 「それなら少しずつなんて言わないで引越し屋に頼んで一遍にやってしまえばいいじゃないか」
 「でも少しずつ引越しする方が楽しいわ」
 「変な感覚だな、それは」
 「いいの。分からなくて。引越しするのは私なんだから」
 「それじゃ後で鍵を渡すから」


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