耀子-25
「先生も食べて下さい」
「ああ、二人してキムチを食べれば匂いも気にならないしな」
「そうですね」
「それだけキムチを食べればさぞや臭いウンコを出すだろう」
「厭だ」
「嘘だよ。キムチには乳酸菌が沢山入っているから整腸作用があって便の匂いは反対になくなるんだ」
「本当ですか」
「本当だよ」
「先生の言うことは何処まで本当なのか分からない」
「全部本当さ」
「乳酸菌なんて本当に入っているんですか?」
「入っているよ。キムチだけじゃない。漬物はみんなそうだ。生の野菜や魚が食べられるようになるのは乳酸菌による発酵作用のお陰だよ」
「そうなんですか」
「乳酸菌なんてヨーグルトにしか入ってないと思っていたんだろう」
「ええ」
「尤も君の出すヨーグルトには入ってないな」
「え? 馬鹿」
「一瞬分からなかったのか」
「こういう場所で突然そんな話をするからです」
「さて買い物に行こうか。僕をうんと刺激してくれるような服を」
「そして先生がヨーグルトを出すんですか?」
「男の出す物をヨーグルトとは言わないな。そんなの聞いた事がない。姿形は似ていないことはないけど」
「汚い」
「君が自分で言ったんじゃないか」
「先生に吊られてしまったわ」
「僕が刺激されれば、僕は君を刺激したくなり、その結果君がヨーグルトを出すことになるから、どっちにしてもヨーグルトは出るな」
「もうその話はやめて」
「まずネグリジェを買いに行こう」
「それじゃさっきの下着ショップにもう一度行きますか?」
「そうだな。さっきチラッと見たけど良さそうなのがあった」
「どんなのですか」
「白くて透けている奴」
「いいですね。白いネグリジェなんて花嫁みたい」
「ネグリジェは毎日洗濯しなければいけないから何枚か買っておこう」
「そんなに毎日洗濯しますか?」
「舐めたり擦ったり汚れるからな」
「擦る? 何処を擦るんですか?」
「透けたネグリジェを着る時は当然下着は穿かない訳だ。そうでないと透けている意味が無いから。そうすると君の股の辺りに僕のチンポを擦り付けたりあるいは君の股間をネグリジェの上から手のひらで擦ったり、そんなことをしたくなる理屈だ」
「そんなことするんならネグリジェを脱いでやればいいのに」
「いや。あのスベスベした感触が又いいんだ。裸の肌の感触もいいけど、それとは違った感触でね」
「全部同じネグリジェを買うんですか?」
「同じではつまらない。デザインとか色とか多少は違う物を買おう」
「先生のパジャマも買いましょうよ」
「白くて透けた奴?」
「ネグリジェじゃあるまいし、そんな物がありますか」
「そうだな。男が透けたの着たら醜悪だ」
「そうですか?」
「そうさ。僕に透けたのを着せたいのか?」
「いいえ。ちょっとパジャマには見えないようなお洒落な柄の物があるでしょう? そういうのを着て貰いたいな」
「パジャマに見えない柄? どんな柄? 世界地図が描いてあるとか?」
「どうして先生はそう突飛なことを考えるんでしょう。頭の構造が少し変わっているんですね」
「それじゃエイズ・ウイルスの拡大写真がプリントしてあるとか」
「私が選んで上げますから勝手に想像していなさい」
「それは光栄です」
「あれあれ。あそこにぶら下がっているでしょう?」
「あれがパジャマなのか? 何だかリゾート・ウェアみたいじゃないか」
「そうですね。素敵でしょう?」