耀子-11
「そこに私が乗るんですか?」
「そうだ。タオルを外して仰向けに寝てくれ。手足を縛らせて貰う」
「はい」
「両手を上に上げて」
「はい」
「斜めに広げる感じで」
「こうですか?」
「そうだ。腋の下は綺麗に手入れしてあるね」
「はい。あちこち手入れして来ました」
「つまり恥毛も手入れしてあるということか?」
「はい。先生は余り毛深いのは好きでないということが分かりましたから」
「もともとは毛深いのかね?」
「そうでもないんですけど」
「それでは脚も広げて」
「恥ずかしい」
「余程期待しているんだな。シャワーを浴びたばかりだというのにもう既に大分濡れてるよ」
「自分でも分かります。恥ずかしい」
「恥ずかしがることはないさ。感じ易いというのは自慢してもいいことだ」
「あっ、何をするんですか?」
「目隠しだ」
「どうして?」
「その方が君も僕も集中出来る」
「はい」
「暫くこのままくつろいで貰おうか」
「見ているんですか?」
「何を?」
「私の恥ずかしい部分を」
「良く分かるな」
「だって先生の小説にそういう場面が出て来ますもの」
「そうか。もう沢山書いたからどの作品か忘れてしまったが、確かにそういう場面も書いたな」
「でも確かに見られていると思うと何か感じるもんですね」
「君ね、僕は見ているだけではないよ」
「ビデオを撮っているんですか?」
「ああ、それは忘れた」
「それじゃ何をしているんですか?」
「浣腸の用意をしているんだ」
「え?」
「僕の小説を読んだのなら当然浣腸もされるだろうと思っていたんじゃないのか?」
「それは覚悟していました。と言うよりも期待していたのかも知れません。でも浣腸するなら座卓にビニールでも敷いてある筈だからしないのかなと思いました」
「ビニールは後からでも敷けるんだ」
「私、浣腸は初めてなので余り沢山はしないで欲しいんですけど」
「沢山しても少しでも結局出る物は出るから同じだよ」
「でも」
「浣腸は厭か? いや、期待していたと今言ったよな」
「はい。ちょっと怖いけどいいです。先生がやりたいことは何でもやって下さい。特に浣腸を期待したというのではなくて先生がやりたいことをやって下さるのを期待して来たんです」
「そうか。それじゃちょっと変わった浣腸をして上げよう」
「何を入れるんですか?」
「入れる物は普通さ。薬品とお湯だ」
「それじゃ何が変わっているんですか?」
「排泄が始まると分かる」
「え? どういう意味ですか?」
「お腹に力を入れては駄目だよ」
「はい」
「つまりね、今お湯割りの薬を入れているんだけれども、それだけじゃない」
「あっ」
「痛いか?」
「いいえ。初めてだから変な感じがするだけで痛くはありません」
「変な感じではなくていい感じだろう? 君の性器はさっきより濡れているぞ」
「そうやって言葉で嬲るのが先生の好みなんですよね」
「僕の小説を読んだから知っているのか」
「はい。でも、これは確かになんとも表現しようのない感覚ですね」
「そうだろう。肛門というのは普通は出口なんだ。そこから入っていくんだから奇妙な感覚がするのは当然だ。それが今に病み付きになる程快感になる」