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朧月夜
【二次創作 その他小説】

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朧月夜-1

5年ぶりに故郷へ帰る。
過去を振り返らず走り続けた。
夏の3日間。
僕は子供に戻る。
きれいな月に照らされ
懐かしむ昔よく歩いた道。朝日を浴びて輝く菜の花畑。
遥か聳える山の端を見渡した。
夏風が頬を撫で、空を見れば
淡い光に照らしだされた丸い月が浮かんでいた。
昔遊んだ商店街も
静かに眠っているようだ。灯りが僕の久々の帰宅を出迎えてくれているようだ。
稲が風にそよぐ。
径が月に照らされ輝く。
朧月夜。
都会に出て何を手に入れたんだろう。
何を失ってしまったんだろう。
あの日、泣きながら歩いた砂利道。
今は泣けなくなった弱い僕。
きれいな朧月夜が優しく包んでくれる。
徹夜して読んだ本も
長電話も。
蚊取線香も。

我が家が見えた。
涼しく吹く風、朧月夜。


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