樹理-19
「それはそうさ。女に夢を持たなくなったら男は終わりさ」
「でもエプロン姿もいいって言ってたじゃない」
「それは新鮮に見えたからだ。いつも見ていたらやっぱり好きじゃない」
「裸にエプロンなんていうのは?」
「エプロンしない素っ裸の方がいい」
「裸とこういう下着姿とどっちが好き?」
「それは甲乙付けがたいな。どっちも好きだ」
「私の何処が好き?」
「は?」
「どうして私のことが好きになった?」
「美人だから」
「ちょっときついでしょ」
「そうだな。そういう顔が好きだ」
「そう? 性格は?」
「性格も好きだ」
「どういう所が?」
「きつい所かな」
「それじゃ全部きついんじゃない」
「そうだな。それがいい」
「マザコン?」
「まさか」
「そうね。マザコンなら縛らせろなんて言わないわね」
「そうだ。縛らせてくれ」
「今度ね」
「今」
「縛る物が無い」
「だからロープと浣腸とローソクとバイブ用意しておけって言っただろ」
「忘れてた」
「馬鹿」
「抵抗しないのに何で縛りたいの?」
「それはですな。縛られた女は美しいからだ」
「そんなことあるかしら?」
「あるんですよ、それが。大あり」
「縛って変なことするんでしょ」
「変なことはしない。縛って美しい女体を眺めるだけ」
「眺めるだけ?」
「そう。変なことは一切しない」
「セックスは?」
「それはする」
「愛撫は?」
「それもする」
「ローソクやバイブも使うんでしょ。浣腸も」
「それはまあ、慣れてから。一遍に全部やらせろとは言わない」
「それじゃ今度ロープ買っておくわ」
「ローソクとバイブと浣腸は?」
「それは買わない。あればやるに決まってるから」
「うーん。敵も考えたな」
「何ですか、敵とは」
「随分飲むけど大丈夫なのか?」
「ワインなら大丈夫よ。1本飲んだって大したことは無い」
「そうか。ちょっと見せてくれ」
「何処を見てんの?」
「おっぱい見てる」
「どうして?」
「酔うとおっぱいがほんのり染まるだろ、ピンク色に」
「そう?」
「うん。それが色っぽくていいんだ」
「脱ぐ?」
「そうだな。着たままでいいからベッドに行こう」
「それじゃ下着だけ脱ぐわね」
「綺麗に剃ってるな」
「そうよ。貴方の好みに合わせるのも大変だわ。毎日剃らないといけないの」
「別に毎日剃らなくてもいいだろう」
「少し伸びるとチクチクして痒いのよ」
「そうか。まあそんな所に無精髭が生えているよりはツルツルの方がいいな」
「子供のみたいでおかしくない?」
「いや、おかしくないよ。凄くいい」
「ツルンとして間延びしてるでしょ」
「いや、そんなことはない。女らしい膨らみがいい。食いつきたくなる」
「それじゃ食いついて」
「うん。此処ならキスマーク付けてもいいだろう」
「そこならいいわ。沢山付けて頂戴」