風馬の決意-1
「どういう事っ!この街から出てくって!?」
「風馬君…。」
この緊急事態を聞きつけ私の部屋に風馬君、巴ちゃん、一条君が集い、皆鳩にが豆鉄砲でも食らったような表情を浮かべる。
テーブルには四人分の冷たいウーロン茶がポツンと置かれている、少しでも冷静になってもらいたいと訴えるように。
「言葉の、通りよ…、この前お母さんに突然知らされたの。」
「仙台かぁー、北海道からかなり遠いなぁー。」
母のその交際相手の実家がその仙台にあり、そこで両親と君らと五人で暮らさないか?と前からそう誘われていたようで。
彼の実家は田舎で、空気もとても美味しく自然豊かで、そのご両親も母の事を歓迎するそうで、母は勿論血の繋がりもない私の事も本当の娘のように大事にしてくれるそうで。
故にその交際相手も母も何も悪気はない、むしろ私の事を想って言ってくれている、それは間違いないのだが…。
「…そんなの、嫌だよ。」
「小鳥遊君…。」
小刻みに震え顔は今にも貧血で倒れそうなくらいに青くなっている。
「当然言ったんでしょ!?自分の気持ちを。」
床に視線を落としたまま首をあげない彼を不憫に思い、代わりに巴ちゃんが私に質問をぶつける。
「えぇっ!言ったけれど…。」
「おばさん、何て言ってた!?」
「それは…。」