誓いのペンダント-18
あと、十分。あと十分、我慢すればいい。
唯は時計を睨んでいた。なにかに集中しなければ、意識が遠くなりそうだからだ。一瞬でも気を抜けば、声が出てしまう。この時間、何回か声が漏れてしまったが、誰も気がつかなかったようだ。いや、気がついているかもしれない。
「ああっ・・・」
気を抜くと、すぐに声が出てしまう。体が震え、カタンと握っていたペンを落とした。隣の男子がチラッとこちらを見る。気づかれたかもしれない。そう思うと、何故か濡れてきてしまう。唯のショ−ツは既に愛液でビショビショに濡れている。これ以上になれば、垂れてきてしまうかもしれない。唯は太股をキュッと締めて、何とか耐えようとした。
また、隣の男子がこっちを見た。落ち着け、そう言い聞かせる。ロ−タ−の音が聞こえているはずがない。普通にしておけば、ばれる心配はないのだ。
「あ・・・く・・・」
唯は唇を噛み締めて、必死に声を抑える。ロ−タ−の刺激自体は大したことないが、ずっと入れているのだ。ゆっくりと、着実に快楽が唯の意識を蝕んでいく。もし、このまま大声でイクことができたら、どんなに気持ちいいだろか。
「ああ・・・あっ・・・」
どんどん意識が挫けていく。いつから、こんなふうになってしまったのか。最近は、授業もサボりぎみなってきた。体調が悪いから。そう言ってあるが、実際は白木と抱き合っていることが多かった。
白木は盛んに唯の体を求めてくる。朝でも昼でもお構いなしだった。唯はもっと普通のつき合いがしたいのだが、白木には言えない。
恐いから。
嫌われるのは恐かった。浩之があてにならないとわかった今、唯に残されているのは白木しかいない。白木に嫌われては唯は生きてはいけなかった。自分は弱い生き物なのだ。だから、誰かに守って貰わなければ、生きてはいけない。
『ロ−タ−を入れて授業を受けろ。一時間くらいなら、我慢できるだろう。決して、バレるなよ』
そう言われた。だから、こんなことをしている。決して、好きでやっているわけではない。
それに、あの薬。あれを飲むと頭がスカッとして、どんな不安も消し飛んでしまう。今まで悩んでいたのがバカバカしくなるのだ。そして、同時に快楽も倍増する。抱き合うときにはいつもあれを飲む。最初は抵抗があったが、今はないとダメだった。何の薬かは知らない。少し気持ち良くなる薬で、安全な物だと言っていた。不安ではあったが、今は気にもならない。
今も飲んでいる。だから、こんなこともしていられる。気持ち良いのも、薬のせいだ。決して、自分がいやらしいせいではない。
「あっ・・・ああっ・・・あはぁ・・・」
ロ−タ−の弱い振動がもどかしい。イキそうでイケない。もっとも、今イッてしまったら唯は破滅だ。とにかく、あと少しもたせればいい。