誓いのペンダント-14
唯が白木と付き合い始めてから、しばらくたった。今の所、うまくはいってるようだ。
今の唯は本当に幸せそうだ。いつも明るく、はしゃいでいる。唯にとって、今が一番楽しい時期なのだろう。そのかわり、浩之にはあまり、かまわなくなった。というより何か、避けられている、という感じがした。だが、それが当たり前なのだろう。今までが少しおかしかったのだ。
唯と俺はただの兄妹になったのだ。浩之はそう自分に言い聞かせると、家路を急いだ。今の時間、家には誰もいない。父は単身赴任。義母も仕事で帰るのは遅い。唯は居るはずがなかった。白木にべったりだからだ。
浩之は玄関を開けた。
靴がある。唯の靴、そして、見慣れない男物の靴。
浩之は舌打ちをした。
唯と白木がいる。あの二人には会いたくなかった。唯はただの妹だ、と思っても、納得し切れない自分が居る。情けないとは思うが、仕方がないことだ。もう少し、時間が必要なのだろう。
時間でも潰してくるかな、そう思った。自分の家で遠慮するのもバカバカしいが、二人を見れば、きっとつらい気持ちになってしまう。
浩之は脱ぎかけた靴をもう一度履こうとした。その時、声が聞こえた。
喘ぎ声。
心臓が高鳴る。冷や汗が流れた。
嘘だろう、そう思う。だが、不思議なことじゃない。二人は付き合っているのだ。当然、そういうことはあるだろう。今まで、浩之はそれを考えないようにしていた。そうしなければ、頭がおかしくなりそうだったからだ。
外へ出ろ。そう思う。だが、足が動かない。それどころか、声のある方に引き寄せられている。確かめたかった。本当に二人なのか。自分の思っていることなのか。浩之は音を立てないように、そっと階段を上がる。声が大きくなってきた。やはり、間違いない。だが、あの唯が。信じられなかった。
ドアが開いていた。わずかな隙間。まるで、浩之を待っていたかのようだ。足が震えている。浩之は音を立てないように、そっと、その隙間に近づいた。
「ん・・・ちゅぱ、ちゅる・・・ンンッ」
唯が白木に抱きついて、唇を吸っていた。
頭が真っ白になった。夢じゃないかと思った。心臓の鼓動が激しくなっている。
「あん・・・ちゅぷ、ンンッ、ちゅぱ・・・ああっ、ンンッ」
唯の喉が動いているのがわかる。白木に唾液でも飲まされているのかもしれない。よく見れば、唯のスカ−トの中には、白木の手が入っているではないか。
白木の野郎。全身の血が沸騰する。それに、唯。目の前にいるのは、本当に唯なのか。自分の妹なのか。唯があんなにいやらしい女であるはずがない。今まで、浩之が見てきた唯は、大人しくて、甘えん坊な女の子のはずだ。
二人が唇を離した。やっと終わったかと思うと、今度は白木が舌を突き出した。
「唯、吸ってくれよ」
唯は頷くと、白木の伸ばした舌に吸い付く。
「ン・・・ちゅぷ、んっ・・・れろっ、ちゅぷ」
許せなかった。今まで、唯は浩之のものだったのだ。いつも、浩之にくっついて、甘えていたのだ。それが、今は白木の言いなりではないか。
「ふふ・・・濡れてるぞ。いやらしいな。唯は」
「いやぁ、だって・・・」
「だって、じゃないだろ。唯はいやらしい女なんだろ」
白木が指を動かし始めた
「ああっ・・・あっ、だめえ・・・アハァ・・・」
唯の甘い声が響く。
「ああ・・・だって、そこ、いじるから・・・ああっ、いいっ」
「ククッ、唯はホントにいやらしいな」
白木が笑う。その顔に、浩之は嘲りがあるのを感じた。
白木にとって、これは単なる遊びのようなものではないのか、そう思った。唯にとっては本気でも、白木にとっては、唯はただの女にしかすぎず、落とすのを楽しんでるだけではないのか。この前、中庭で見たように、飽きたらボロ切れのように捨てられるのではないか。そう思うと、白木に強烈な怒りを感じた。唯は、騙されているだけなのだ。
だが、どうするのだ。浩之は唇を噛み締める。浩之の言うことなど、唯が聞くはずがない。唯は、白木しか見えていないのだ。
白木は唯のショ−ツを脱がせる。そして、また秘部に手をあてた。
「ふぁ、ふぁ、だめ・・・ああっ、ヒャア、ああ・・・」
「ククッ、いいのか？ そんなにいいのか、唯？」
「そんな・・・ああっ、そんなにつよくしちゃ・・・ううっ」
唯、なぜなんだ。浩之はそう思わずにはいられなかった。なぜ、白木なのか。なぜ、気づかないのか。なぜ、ここまで許すのか。浩之は大声で叫びたい気持ちに刈られた。