終演、……そして最後の試練-3
「すいませんでしたっ!」
「っ!」
二人きりで居るやいなや突然声を張り上げて謝罪し、頭を深々と思い切り下げだし。
「あ、茜ちゃん…。」
「……。」
その肩は小刻みに震えている。
「ずっと、ずっと…謝ろう謝ろう思ったのに出来なくて。」
茜ちゃん…。
私はそんな彼女の力んだ肩にそっと手を触れ。
「もう、大丈夫だよ。」
「先輩!でも!」
私はこの一件でとても苦しんだ、そして彼女も苦しんだ、お互い運命の悪戯に振り回されてしまい。
「貴女は間違いを犯した、そして私も、だからお互い思い悩みそして苦しんだ。」
「……。」
「だから!もうこれでチャラにしましょう!もう普通の仲の良い先輩後輩としてさ。」
「……はい!けど今でも悔やんでます、出会った相手が、もしもあの時雨の中。」
「過ぎた事いちいち気にしてたって仕方ないよ、良いじゃない、お互い良い経験をしたそして大人になった時にこーんな事があったんだよー、いやーあの時は大変だったよーって笑い話にでもそりゃーさ!」
「…はい。」
何かから解放されたように今にも泣きだしそうな顔で笑みを浮かべる。
「何泣いてんのさ!ほらっ貴方も後片付け手伝って、まだ若干残ってるから!…それが終わったら一緒に帰ろ!仲直り後の甘くて美味しいドーナツは格別さ♪」
「……はい!」
曇っていた心が一気に晴れ上がった、そんな気分だ。
後で風馬君に報告だ、一体どんな顔してくれるんだろう。