夏-2
ふと、携帯が震え出す。
友達からだった。
話を聞いて返事を返す。携帯を閉じると俺は部屋を飛び出した。
夏の空は冬の空みたいに鮮やかに星は見えない。
空も、周りの景色も、時には人の気持ちさえうまく捉えられずにぼやけてしまう。
暑くても、汗をかいても動いてしまうのは、その輪郭を無意識に捉えようとしているからかもしれない。
待ち合わせの場所に急ぐ。
まだみんなが来るまで時間があるのに、俺は走り出した。
焦っているからじゃない。
楽しくてしかたがないんだ。
そんなことを考えるのは決まっている。
夏が来るから。