死神と一緒〜転校・喧嘩編〜-5
零は床を拭きながら怒っていた……無力な自分に。
なぜ僕は真面目に床掃除をしているんだろう。原因であるあいつがするのが筋ってものだ。
「やってられるか!」
と叫びながら牛乳を拭いた雑巾を投げる。
ベチャ
偶然にもドアを開けた蒼氷の顔に直撃した。
「あ」
と、思わず言ってしまった。蒼氷は雑巾を払い落とし「俺が何かした?」
と笑いながら言った。こいつのことは昔から知ってはいるがこのような表情は見たことがない。
「許してくれないか?」
無駄とは分かり切ってはいるが一応聞いてみる。
「許すわけないだろ」
その後僕は地獄を見た
「まったくお前は昔からだらしないよ」
蒼氷は文句を言いつつも掃除を手伝っている。
「僕だってやりたくてやってるわけじゃないんだよ」僕は絆創膏を貼りながら言い返した。さっきの地獄は本物の地獄の方がマシかと思えるくらいきつかった。しかしそのおかげでとてもきれいな川が見えた。
「ほら、片付いた」
僕が自分の治療をしている間に蒼氷がキッチンを元通りにしてくれた。
「じゃあ次の問題か」
「もしかして疾風がいるリビングか?」
ボソッと呟くと蒼氷が反応した。
「あいつらを放っておくとどうなるか分からないからな」
「“あいつら”ってなんだ?疾風しかいなかったぞ」あれ、こいつは璃逢を見ていないのか
「璃逢がいただろ」
救急箱を元の位置に戻しながら答える。すると蒼氷のテンションが急上昇した。「マジで?なんで璃逢がいるんだ」
まさか[二人は幽霊と死神です]だなんて言えないしな、どうしよう……
「あれだよ……ほら、なんて言えばいいのかな」
もうメチャクチャだ
「あの二人はそういう関係だったのか」
「は?」
「なら俺は疾風から璃逢を奪ってやる」
「そうじゃなくてだな」
「零、お前は俺の味方だよな?」
あえて言うなら中立の立場を希望する
「じゃあ早速疾風に宣戦布告してくるぜ」
と言ってキッチンから出ていく蒼氷。
「話を聞いていないな」
心配なので後を追い僕も三人の下に向かった
「………。」
リビングでは璃逢を除く三人が正座し沈黙していた。周囲には空き缶が無数に散乱しており璃逢は依然として寝ている「で、なぜこうなったんだ?」
ことの発端は約20分前にさかのぼる
「疾風、俺と勝負しろ」
勢い良くリビングに乗り込んだ蒼氷はワケも話さず疾風に宣戦布告した。
「じゃあ飲み比べでね」
と、疾風は提案し、結局は飲み比べの勝負になった。勝敗の結果はドロー。なぜなら二人が全ての酒を飲んでしまったからである。
飲み比べ対決が終了した後二人は零の説教を受けていた。