死神と一緒〜転校・喧嘩編〜-4
しかし疾風は酒を煽りながら
「俺と璃逢は人間じゃないしね」
そういえばそうだったな、普段幽霊らしい行動をしないから忘れていた。
「零はお酒を飲まないんですか?」
璃逢が言った。
敬語を使っているのに呼び捨てにされるのには違和感を感じたが気にしないことにした。
「僕は遠慮しておく」
「じゃあ零の分も俺たちが飲んじゃうよ」
と、言いながら新しい缶に手を伸ばす疾風。
「別にいいけど後片付けは誰がするんだ?」
「その点については零にお願いします」
今の璃逢の発言は聞き捨てならない。こいつらのドンチャン騒ぎの後始末を僕がする理由はない。
「なぜ僕なんだ?」
「この家の主だし」
こいつは居候先の主人に空き缶の始末や床掃除をさせる気か?
どうやらあの世では遠慮や責任といった言葉はないらしいな……
こいつらに何を言っても無駄と判断しキッチンへ掃除にゆく零だった
沖田蒼氷は暑いアスファルトの道を歩いていた。疾風が心配で見舞いに来たわけだ
(しかし二人きりの家に行くのも気まずいよな)
二人の関係を“あぶない関係”と思い込んでいる蒼氷だった。
右手には土産物の袋も持っており見舞いに行くスタイルそのままだ。
やっぱり気まずい……
その考えが頭から離れない蒼氷
零とは家が近いのですぐに着いてしまった。
(ここまで来たら後には退けないな)
ドアノブに手を掛けゆっくりと玄関の扉を開ける。
「お邪魔します」
小声で言うが返事はない。大きな声を出してもいいんだが二人がお楽しみ中だと零に悪い。俺だってそれ位の心遣いはできる
インターホンを押すが誰も出てこない。
「おかしいな、留守か?」すると奥から物音が聞こえた。
「なんだよ、いるんじゃないか」
そう確信し上がり込む蒼氷だったがリビングの入り口で足を止める。
(最中だったらまずいな)
このような勘違いが過去何度も零を困らせた。すると部屋の中から疾風の笑い声が聞こえた。
(なんだ疾風が一人かな?)扉を開け中に入る。
「うわ!酒クサい」
リビングには無数のアルコール類があり疾風が酒を飲んでいる。
璃逢はソファーの裏で寝ていたので蒼氷には見えなかった
「疾風、見舞いに来たぞ」と言って疾風を呼ぶ。
するとこちらに振り向き
「見舞いって誰の?」
この応えにはさすがの蒼氷も驚いた。
「え、お前が学校に来てないから不安で来たんだが」「別に異状はないから大丈夫だよ」
高校生が酒を飲むのは異状じゃないか?
「大丈夫なら別にいいんだけど、零はどこにいるんだ?」
「零はキッチンでお仕事中だよ」
「そうかちょっと呼んでくる」
蒼氷はリビングからキッチンに向かった。