死神と一緒〜転校・喧嘩編〜-3
まったく、今日は謎だらけの一日だな。
蒼氷はテンションが上昇してるし、ハーフの転校生は死神かもしれない。
しかし死神にしては口調が丁寧だった。しっかりとした敬語を使う上、授業も受けていたので死神には見えなかった。
だが今の僕には最大の疑問がある。
それは……
なぜ璃逢が僕の後ろを歩いているんだ?
振り向いていないのでその人物が璃逢かどうかはわからないが、何か独特の雰囲気を感じる。
どうするべきか迷うこと十数分。考えている間に家に着いてしまった。
恐る恐る後ろを向く
「どうしたんですか?」
すると目の前には璃逢が立っていた。
どうしたと言われたがこっちが聞きたいところだ。
「入らないんですか?」
不思議そうに首を傾げる璃逢。こっちはそれどころじゃない。
「じゃあ私から先に入りますね」
と、言うと零の家に上がり込んでいく璃逢。
「ちょ、ちょっと待って」あわてて玄関で引き止める「ど、どうかしました?」「どうかしましたかじゃない!なんでここにいるんだ?」
零はかなり焦っていた(仕方ないことだが)
「なぜって言われても、私はここに用がありまして」すると家の奥からドタバタと疾風がやってきた。
「おかえり零、今日はこそ死神が来たでしょ?」
学校に来ないから何かあったのかと本気で心配していたがどうやらいらぬ心配だったらしい。
「バカかお前は!人前でそんな話を……」
「あれ!後ろにいるのってもしかして璃逢?」
疾風に言葉を遮られた。疾風が僕を押し退けたおかげで壁に頭を打ったのは余談だが………
「久しぶりだね疾風。ちゃんと監視してる?」
「もちろん!まぁ上がってよ」
璃逢を連れてリビングに消えていった疾風を見て零は(ここは僕の家だよな?)
と、思った。
僕は何の因果で幽霊と死神の世話をしなくてはいけないんだろ。昔から霊能力なんて邪魔だとばかり思っていたが今は以前と違う考えを持っている………
すごく邪魔だと
これからの生活に不安を思いつつ、気を落ち着かせるためキッチンに水を飲みに行く零。
キッチンに入った瞬間目に飛び込んだものは信じたくない光景だった。床は水浸し、食器棚から食器が落ちたため床には無数の破片。冷蔵庫の中を確認すると牛乳がこぼれており目を背けたくなる光景だ。
「家の中だけ台風が通ったのか?」
などと馬鹿げたことを呟いてしまうほどにキッチンは悲惨な場と化していた。
よく考えれば僕がここの掃除をする理由はないんじゃないな。疾風にさせるか
疾風にやらせてきれいに片付くかどうかも考えず散らかした張本人を捕らえにリビングに向かう。
「疾風、何だあれは!」
勢い良く扉を開け疾風を呼ぶ零。しかし疾風と璃逢にはその声は聞こえていなかった。
「二人とも何をしてるんだ?」
「見て分からない?酒宴だよ」
床には数本の空き缶が転がっている。もちろんその空き缶の全てがチューハイやビールといったアルコール類だった。
「あ、お先に頂いてます」璃逢が軽くおじぎをするがそこはどうでもいい。
「僕たちは高校2年生なんだけど」
法律的に飲んではいけない歳なのだ。