黒澤 ミカ-9
私は今、高原家のお風呂の湯船に浸かっています。
大きなお風呂、というワケでもないけども私の背後にはユウキもいる。
つまり一緒にお風呂入ってる状況です。
「何がどうなってるんだ…」
「私もお風呂入りたかったからね。ユウキくんは嫌だった?」
「嫌とかじゃなくて…もうワケ分かんない…」
ユウキは困惑しているようだけども…男の子らしく猛々しく勃起していた。
見てみぬふりして一緒に湯船入り…ちょっとからかうつもりで後ろにいるユウキにもたれかかるとお尻から腰の辺りにソレは当たり、自己主張を感じる。
「まぁ…その、ごめんね。私のせいでバスケに集中できなくなったみたいだし」
「………」
ユウキにもたれかかりながら、ユウキの反応を待っていると…。
突然、後ろから抱きしめられた。
うわ、可愛い後輩だと思ってたのに後ろから抱きしめられると男らしさを感じる。
何だかドキドキしてきた。
「オレ…センパイの事が好きなんです。すっごく好きなんです…!!!」
「………」
今度は私が黙りこむ。
私もユウキの事が好き。好きだけど…どうしたら良いのだろう。
分からない。分からないけども私からおこした行動なのだから、私が責任をもたなくちゃいけない。
「私もね、ユウキくんの事…好きだよ」
「…………!」
「クラスメイトに流されて私もシちゃって、しかも満更でもないとか思っちゃう変態だけど…」
「それでも好きです!オレはセンパイの事が好きなんです!」
抱きしめられる力が、強くなる。
そんな…こんな…都合の良い事があっても良いのだろうか。
「本当に、私なんかの事、好き…?」
「好きです!センパイこそ、オレの事を好きになってくれますか…!?」
「馬鹿…もう、大好きだよ」
都合の良すぎる展開になってしまい、状況の整理が追い付かない。
気がつけば私は涙を流したりなんかして、また気がつけば私とユウキは向かい合ってキスをしていた。
「ずっと…憧れてたんです。センパイは美人だし、バスケも上手いし…女としても、選手としても憧れてたんです」
「私も…人付き合い苦手だから、ユウキには救われてたの。チームメイトと仲が悪いワケでもないけどなんとなく居心地悪くて…けど、ユウキがいつも笑顔で接してくれるから心が救われてたの」
「オレ…必死だっただけです。センパイと話しがしたくて、けどまともな話題もできなくていつも最後は逃げるように走り去って…」
お互いの思ってた事がぼろぼろと口から溢れる。
気がつけばお互いに穏やかな笑顔が浮かんで…またキスをした。
とても穏やかなキス。
舌を絡めるような貪るキスじゃなくて、心と心を通わせるようなキスだ。
「ね…シちゃおっか」
「よ、宜しくお願いします。お、オレ童貞ですけど頑張るんで」
「ふふ、そんな腰が退けてたらこの先が心配だよ?どっかの猿曰く、私はS女らしいし」
「お、お手柔らかに…」
その後、お風呂から出た私とユウキは交わり合った。
恋人同士の、キスの多い甘いセックスだ。
手を繋ぎ合いお互いに好きと言い合う、端から見れば甘過ぎるセックス。
けども心が満たされて、私とユウキはひたすらに幸せを感じられる行為だった。