黒澤 ミカ-8
「だったら…」
「え…」
数分、ユウキは動かなかった。
とても居心地の悪い雰囲気だったから時間が長く感じただけで、ほんの数秒かもしれないけど。
私の話しを聞いてうつ向いてしまっていたユウキだけども、突然勢いよく顔を上げた。
「まだ、チャンスはありますよね!?だったらオレ、今から試合をひっくり返してくるので試合に勝てたらオレともサせてください!」
「え、えぇ〜…」
何を考えてそういう結論になったのか突然勢いの増したユウキは物凄い勢いで体育館に戻っていった。
しかも私の返事は聞いてないし。
…ひとまずは元気になった、のかな?
落ち込んでるよりは良いけど、コレはきっとダメだよね?
私も体育館に戻る頃には試合が再開してたけども結果は…。
「ミカ…何をしたかしらないけど元気づけしすぎ」
「一年生エースくん、空回りしすぎて全然シュート入ってないよ〜」
「あはは…だよねー…」
まぁ、予想通りというか。
前半より活発に動いて元気はあるが、私のチームメイトが言っているように空回りしてるユウキの姿がそこにはあった。
仕方ないので私は応援に来ていた高原兄の姿を探す。
「ねぇ、今日って高原の家空いてる?」
「今日も両親いないから大丈夫だけど…まさか、あのミカの方からお誘い…!?」
「違う。ちょっと弟くん借りるね。500円あげるから高原もでかけてきて」
「まぁ…そんな事だろうと思ったよ。状況よく分からないけど弟をよろしく頼む」
おぉ、お兄さんらしい事言ってる〜と思いつつ高原は私から500円玉を受けとる。
まぁ…良いけどね、私から言い出した事だし。
私も状況がよく分からないけど、私とエッチする事でユウキが頑張れるなら勝敗関係なくご褒美くらいあげなきゃ。
それが…私のような尻軽女にできるせめてもの事だと思うから。