黒澤 ミカ-6
日曜日。
今日はウチの学校で他校との練習試合。
昨日は予想通り一日中寝てた。
ヤバい、赤点の画題じゃないけど普通に宿題ヤってない。
今日も試合終わったら帰ってすぐ寝るだろうし、早速新堂に頼るかも。
その新堂だけども他のクラスメイトと一緒に応援に来ていた。
ウチのクラスは…乱交ばかりやってるインモラルな変態ばかりだけどもその分一緒にいる事が多いからか皆仲が良い。
おかげで私のクラスメイトはほとんどが応援に来てくれていた。
…ただの練習試合なのに、ちょっと大袈裟で恥ずかしい。
けれど今度ユニフォーム姿でエッチしようぜとか言ってきた猿たちには蹴りを入れとく。
「ミカ!」
「ユカリ!」
素早くパスを回して合ってユカリがシュートを決めに行く。
…が、外れる。しかもリバウンド合戦になったボールがこぼれ落ちてきて私の元に戻ってきた。
今の私は…私だけがリバウンドボールを追いかけてくる相手選手がくるまで、少しの間完全にフリーの状態になってしまい次の行動の選択肢に困ってしまう。
「あ…入った」
「「「おおぉぉぉ!!!」」」
ゴールとは距離が離れていたけどもフリーだったのでシュートしてみた。
そしたら…自分でもビックリしてるのだけども3Pが決まってしまったり。
私はスタミナだけでなく、力にも自信がないので3Pなんてあまり狙わない。
けど…どうやら今日の私は絶好調のようだ。スタミナ配分も上手くできていて調子が良い。
しかも綺麗に3Pが決まったおかげで私のマークが強くなってくれた。
その次も3Pこそやらなかったが普通に上手くシュートが決まってくれたし。
私はセンター以外のポジションをオールラウンド気味に動き、攻める時は攻めるがフォワードほど攻めこむタイプではないので本来のエースへのマークが薄くなる方が嬉しい。
実際、ウチのフォワードが自由に動いて連続でゴールを決めてくれた。
ついでに言うとマークが強いおかげで沢山動く事ができずスタミナも温存できたので尚良し。
おかげで練習試合は快勝。
良い結果になって私もチームも大満足だ。
「お疲れ!今日は絶好調だったねミカ!MVPだよ!」
「いやいや、MVPはエース様でしょ。私の活躍なんて寂しい物よ」
「私はいつも通りやっただけ…というかミカのおかげで凄く動きやすかったもん!だからミカこそ影のMVPだ!」
私は背中をバシバシ叩かれながらチームメイトに歓迎される。
こういった状況には慣れないので…ちょっと対応に困る。
自分でも良くはないなと思いつつも普段から少し冷めた態度をとっているので嫌われてこそいないが、こうガッツリとコミュニケーションとったりはしないし。
「あー…逆に男バスは調子悪そうだね」
「一年生エース君が調子悪そう」
「けど調整も含めた練習試合だからよっぽど外す気はないらしいよ。調子悪いのにずっと居座るって地獄だよね…」
女子バスケの次は男子バスケが試合をしていた。
クールダウンに外を軽く走って戻ってきたら男子の試合中。
そしてチームメイトの言う通り…男子バスケの一年生エースのユウキが調子悪そうで何度もブロックされていた。
「ミカ、ハーフタイムにでも直接応援してあげたら?」
「な、何で私?というか…め、迷惑じゃないかな?」
「あの一年生エースくん、ミカになついてるしきっと喜ぶよ~」
端から見てなつかれてる…多少は好意を持たれてるように見られているのだろうか。
だとしたら…素直に嬉しい。
色々と思う事があって、彼とは上手く向き合えないけども少し頑張ってみようかな。
「じゃ、じゃあ後でょっと声をかけてみる」
「頑張ってねぇ〜」
私が…スケベで色々と変わった事をしてる女子高生でも応援くらいはしても良いよね…?
「…分かりやすいなぁ〜」
「というか二人ともピュアすぎて見てる方がもどかしすぎ」
そんなチームメイトの会話は聞こえなかった。