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貧困娼年と電脳娼年&碧のお茶会
【ショタ 官能小説】

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貧困娼年と電脳娼年&碧のお茶会-2


「人間らしい暮らしをしているのって、碧だけじゃない?」
逆さまになったまま器用に紅茶を啜るキラが言う。そのヘソ出しのカットソーから無数の疵痕が覗く。

「でも、帰国子女で英語が話せるキラだって。普通に暮らしていれば裕福な子息じゃない。僕なんてまだまだ文法さえ初歩なんだし。いいなあ、帰国子女って」
紅茶のポッドに保温の布を被せる碧は、やはり育ちの良さを伺わせた。

「どうだかねえ?英語が喋れるのが役に立ったのは一回だけだし」

「最初にセックスしたのが外人なんて凄いよ。しかもインターネットを使いこなすどころか電子の精霊とお友達なんだもの」

「億度。億度ねえ。事実最初にして最後の友達だから、まあ。でも碧には愛する先生の誠ちゃんがいるじゃない」
キラはiPhoneの画面に踊る水槽を見つめる。その中に泳ぐ魚が時々緋色の模様を翻してキラを見つめる。人工生命型検索エンジン「億度」はそのスクリーンセイバーを通して少年達を電子に変換しその意識を部屋に張り巡らせている。
<You are always loved by everyone>

「やめてよ。恋人でもなんでもないんだから。あくまで僕は彼の生徒であって」
綺麗に整えられた爪を見つめながら、碧は可愛らしい頬を膨らませる。

「で、その先生の「宿題」とやらで男漁りって何?お祭りで桜模様の浴衣着て、ケツの穴に二本もぶっといのを咥え込んだのは誰?いつものおすましが蕩けた顔してお尻振って」
キラは意地悪な笑みを浮かべて碧を見上げた。

碧は顔色を変えて絶句する。
「お、男漁りって。キラ、人の事言える?ボク、自分から誘ったりしないよ?」

キラはアリスの国のチェシャ猫に似た三日月型の口角を持ち上げた。

「だって「釣りの餌」にしちゃあ、どう見ても食べて貰うのを心から愉しんでいる現実は?「ボク、食べられて嬉しい」なんていうミミズもお魚もいないと思うけど」

「そりゃ……どうせ食べられるなら美味しく食べられろって先生も、言ってるし。キラの場合だけだよ?バイブで味を占めて本物を欲しがったなんて。それにボクや翠はちょっと変態な人はいても、キラが相手している人達みたいな「化け物」じゃないし」

「否定はしないけどね、でもボクの場合、基本「肉」だもん。恋愛感情なんてないから。人に恋しているんじゃなくて、「肉」に恋しているの。碧だけでしょ?守ってくれる人が居るなんて。羨ましい限りだね」
キラはダウンライトにルビーのピアスと首輪の銀を光らせてそっと翠を見る。

「翠はどうなのさ。翠にとって「ザキ」さんとか「ユーコ」ってなあに?」

無言で熱い紅茶を吹いていた翠はキラに話しかけられてビクッと跳び上がった。
エキゾチックな鳶色の肌と相まって、それはまるでミーアキャットみたいだ。

「い、いい人たちだよっ。ボクと友達みたいにしてくれるしっ……これからどうなるのか解らないけど」
大輪の薔薇がキラなら、翠は露草のように可憐。
翠は三人の中で一番背が低く、痩せっぽちだ。どこかの南国の難民に混じっていても違和感がない程に。


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