ジュディー-5
「サラダ専門店なんてあるの?」
「そんなことも知らないの?」
「だって、サラダだけ食べにレストランに行く人なんかいるのかなあ」
「いるわ。いっつも混んでるんだから」
「へー、菜食主義者が増えたのかな」
「サラダを食べるのは若い女性のトレンドよ」
「そうなの? それは知らなかった」
「駄目ねえ。セックス・シンボルのマネージャーがそんなこと言ってては駄目よ」
「サラダとセックスは関係無いだろう」
「大ありよ。サラダを沢山食べれば体に粘りが出てくるの」
「え? 粘った汁が沢山出てくるの?」
「馬鹿、何考えてんのよ。体に粘りが出て長時間セックスが出来るようになるという意味よ」
「あ、そういう意味か」
「本当に何も知らないんだから」
「それは確かに知らなかった」
ジュディーはシャワー・ルームからバスタオルを巻いた格好で出てきてそのまま食事していたのだが、食事が終わると清の前で平気で裸になり服を着た。バスルームを覗いたりしては駄目よというのは何だったんだろう。バスルームで何か変なことでもしてるのだろうかと思ってしまった。ジュディーの着替えは見ないようにしていても、そこは男だから何気ない素振りで見てしまう。着たのは極く短いボディコンのワンピースだからこれならポルノ女優らしい服装と言えるのでは無いだろうか。週刊誌のグラビア撮りの仕事なので約束のスタジオに向けてタクシーを走らせた。
「ジュディーのその髪は染めてるの?」
「染めてないわ」
「もともと金髪なの?」
「そうよ」
「でもさっきチラッと見えたんだけど、あそこの毛は黒っぽかったように見えたよ」
「見てたの? そっぽ向いて興味無いって感じに見えたけど」
「いや、その、興味があった訳じゃなくて、何と言うか」
「別に慌てなくてもいいわよ。見られて困る訳じゃないから」
「光線の加減で黒く見えたのかな」
「黒じゃ無いわ。茶色よ」
「茶色? それじゃやっぱり金髪じゃ無いんじゃないか」
「知らないの?」
「何が?」
「頭が金髪でも陰毛は茶色なのよ。陰毛まで金髪の人なんか滅多にいないわ」
「本当?」
「本当よ」
「それって本当に本当?」
「そうよ、どうして?」
「だって頭の毛が黒い人はあそこも黒いんだよ」
「黒い場合はそうでしょうけど、金髪の場合は違うの」
「ほー、納得いかないなあ」
「それじゃ陰毛まで金髪の人って見たことある?」
「さあー、そう言われるとね。大体女性のあそこはあんまり見たこと無いから」
「だから写真でよ」
「どうかなあ。良く憶えていないなあ。大体裸の写真見たってそんな所は大して見ないからね」
「それじゃ何処を見るの?」
「まあ、胸とか」
「胸とか?」
「だから胸を見る」
「他には?」
「まあ、全体をチラッと見てあとは胸だね」
「胸しか見ないの?」
「胸しかっていうことは無いけど、まあ主に見るのは胸だね」
「キヨシは胸が好きなの?」
「いや、男はみんなそうさ」
「そうでも無いでしょ」
「そうでもあるさ。何と言っても乳房っていうのは男に無いもんだから」
「それはプッシーだってそうじゃない」
「プッシーは違うんだ。あれは男についている物が欠如しているっていうだけで、男に無い物が付いているというのとは違うんだ」
「何だか良く分からない理屈ねえ」
「別に分かってくれなくてもいいよ」