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ジュディー
【その他 官能小説】

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ジュディー-4

 「あら、食器に入れてくれたの?」
 「うん。それで足りるのかな」
 「足りない」
 「そうだろ。いくら何でも野菜だけではなあ」
 「野菜だけでいいんだけど、野菜の量が足りないの」
 「え?」
 「この10倍くらい食べるのよ」
 「10倍?」
 「そうよ。これはレタスとサラダ菜を少しずつちぎっただけでしょ? そうじゃなくてレタスとサラダ菜を1個ずつ全部食べるの」
 「え? レタスとサラダ菜を全部?」
 「そう」
 「そんなに食べるのか。それなら野菜だけでもお腹がいっぱいになりそうだな」
 「毎日仕事の帰りにレタスとサラダ菜を買って帰るんだから憶えておいてね」
 「はい、分かりました」
 「良かったら一緒に食べない?」
 「でも僕が食べたら足りなくなるだろう」
 「いいわよ。食べなさい」
 「それじゃレタスとサラダ菜を1枚ずつ貰おうか」
 「1枚?」
 「うん。野菜はあんまり食べないんだ」
 「どうして? おいしいのに」
 「そうかな。野菜なんて味が無いだろ」
 「何言ってるの」
 「だって味が無いからジュディーだってドレッシングかけてるじゃないか。何もかけないと味が無くて食べられないだろ」
 「あら、何も無くたって食べられるわ」
 「ほう、それは余程好きなんだな」
 「野菜を食べないと血が濁ってきて体の調子が悪くなるんだけど知ってた?」
 「ほう。ジュディーはそうなの?」
 「違う、誰でもそうなの」
 「そうか? 僕は別に平気だけどな」
 「平気じゃない。キヨシはだから顔色が悪いのよ」
 「え? 僕は顔色が悪いかい?」
 「ええ、悪い」
 「いやだなあ、脅かさないでくれよ」
 「脅していないわ、本当よ」
 「それじゃビタミン剤でも買って飲むかな」
 「馬鹿ね、そんなのは駄目なの。ちゃんと食べ物から取らないと栄養は吸収されないの」
 「そんなことは無いだろう」
 「私のマネージャーなんだから体調管理も仕事のうちよ。そうだ、明日からレタスとサラダ菜を2個ずつ買って来よう」
 「そんなに食べるの?」
 「キヨシが半分食べるのよ」
 「えー、それはいくら何でも無理だよ」
 「タレントの無理を聞くのがマネージャーの仕事」
 「それはそうだけど」
 「でしょ? 分かったらこれ半分食べなさい」
 「いや、明日からでいいよ。まだ心の準備が出来てないから」
 「サラダ食べるのに心の準備なんか要らないの。おかしなこと言う人ねえ」
 「いや僕の場合は胃が小さいから準備しないと入らないんだ」
 「サラダ嫌いなの?」
 「いや、別に嫌いということは無い」
 「それじゃほら、これだけ食べなさい」
 「それくらいなら何とかなるかな」
 「明日からこれの4倍食べるんだから準備して来なさい。違うな、こういう場合は覚悟して来なさいと言うのね」
 「ジュディーのお陰で僕の人生はメチャメチャだ」
 「何で?」
 「1日8時間机に向かって座ってれば良かったのに、朝から晩まで飛び歩いておまけにこんなに野菜を食べさせられて。大体これは食器じゃ無いだろ。ボールじゃないか」
 「だから食器よ」
 「これは料理する時に使う道具で食器じゃない。例えば此処で小麦粉こねたり、バンバーグや餃子を作る時材料を混ぜ合わせたり、そういう時に使うんだ」
 「まー、キヨシの馬鹿。それとこれは違う。これはちゃんとしたサラダ用の食器なの」
 「へー、そうなの? だとしたらこれはビュッフェなんかで此処に盛っておいて此処から各自が少しずつ取って行くとか、そういう風に使うもんなんだろ」
 「今度暇な時サラダ専門店に連れていって上げる。そうすれば分かるから」


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