ジュディー-11
「なるほど、コンドームの要領か」
「そう」
「ということはキヨシは経験はあるっていう訳だ」
「そうとは限らない。コンドームなんて男はみんな子供の内から知ってるさ」
「そうなの?」
「ああ。どういう物か興味があるからね」
「それならこの服がどんな感じに見えるか分かるでしょ?」
「体中にコンドームを被せたみたいに見えるってこと?」
「まあそんなもんよ」
「それってどんな感じなのかな」
「ほら、こういう感じよ」
「なるほど、これは店員の言ってたとおりだ。セクシーなんてもんじゃないな。一言で言うと厭らしいな」
「そうよ。こんな物着て外歩けないの分かったでしょ」
「いや、そうでも無いんじゃないのかな。セックス・シンボルなんだからそれ位いいんじゃないのかな」
「何? 本当にそう思うの?」
「うん。いいんじゃないかなあ」
「いいわよ。キヨシが一緒に歩くんだから、キヨシがそれでいいって言うんなら私はいいわよ」
「いや、仕事に行く時じゃなくて普段着るのにいいんじゃないかな」
「それなら一緒に歩かなくて済むからと思ってるんでしょ」
「うん」
「駄目よ。休みの日だって私に貼り付いてろって言われてるんでしょ」
「さあ。其処までは言われていないな」
「嘘。そう言われた筈よ」
「そんなこと聞いてない。そしたら僕には休みが無くなっちゃうじゃないか」
「そうよ」
「そうよって、ジュディーが社長じゃ無いんだから」
「まあ、当面丸々休みの日っていうのは無いわね、どっちにしろ」
「そうだな。と言うことは僕も休みが当面無いっていうことになるんだ」
「そうね。嬉しいでしょ」
「何で嬉しいんだよ」
「ずっと私と一緒にいられるから」
「冗談じゃない。ジュディーと一緒だと僕のバイオリズムは崩れっぱなしだよ」
「どうして? いつも興奮させられるから?」
「そうじゃない。あれ食え、これ食えって言うからさ。食べ物っていうのはバイオリズムの基本に影響するんだ」
「沢山食べて沢山出すのが健康の秘訣なのよ」
「僕のうちのトイレは直ぐ詰まるからジュディーみたいに1トンも出したら大変なんだ」
「誰が1トンも出すのよ」
「いやまあ」
「何がいやまあなの」
「そうだ、忘れてた。薬を飲んで貰わないと」
「何の薬?」
「避妊薬。ピルだよ」
「何で?」
「何でって妊娠したら仕事にならないだろ。社長にうるさく言われてるんだ。ちゃんと飲み下したかどうかまで確認しろって」
「だからセックスもして無いのに何でピルを飲むのよ」
「え? ジュディーは知らないのか? ピルっていうのはセックスするかしないかに関わらず毎日忘れずに飲んでおかないと効かないんだ。セックスする時だけ飲んだって駄目なんだよ」
「何時代遅れのこと言ってんの。そんなピルは大昔の薬よ」
「え? じゃ今のピルはセックスする時だけ飲めばいいのか?」
「違うわ。セックスした後に飲めばいいのよ」
「嘘だろう」
「嘘じゃない。セックスしてから72時間以内に飲めばいいのよ」
「本当かい? そんな話は聞いたことが無いな」
「キヨシが知らないだけよ」
「それ本当の話?」
「本当の話」
「で、その薬を持ってるの?」
「当たり前」
「本当かい? 明日病院に行って聞いてこよう」
「聞いてきなさい」
「そうすると、社長もそれは知らなかったということだな」
「避妊の知識も無くてチンポおっ立ててばかりいては駄目よ」
「別におっ立ててないよ」
「どれ?」
「ゲッ、気安く触んなよ」