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シルビア
【青春 恋愛小説】

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シルビア-27

 「何の話?」
 「アシベのことでしょ? あれはACBって書いてアシベって読むんですって? 竜太君に教えて貰ったんですけど」
 「リュータクン?」
 「あ、竜太郎っていうのが本当の名前なんですよね。でも竜太郎君が竜太君って言えって言うから」
 「何で?」
 「だって母さんが竜ちゃんで、姉ちゃんが竜太郎だろ。だからガールフレンドには違う呼び方して貰いたいんだ」
 「へえー、そういうもんなの?」
 「そういうもんなの」
 「それで2人はもうセックスしたの?」
 「え? 私達まだ高校生ですから」
 「やっぱりね」
 「何が?」
 「竜太郎がセックスしてきた訳無いと思ったんだ」
 「セックスしたなんて言って無いじゃないか」
 「アシベのことだったのね」
 「そう。だからABCじゃなくてACB」
 「母さん何か言うこと無い? リュータクンの健全性について」
 「まあ時代が違うから」
 「それは反対よ」
 「まあいいから。私の息子だなんて思えないけど、それはそれでいいんじゃないの?」
 「どういうことですか?」
 「いいんだ。うちはちょっと変わってるから、この話はおしまい。それ以上聞いても頭が混乱するだけで理解は出来ないから」
 「何か難しい話?」
 「そう。宇宙人同士が喋ってるの聞いても分からないよ。日本語に似ているだけで日本語じゃ無いんだから」
 「いつから私まで宇宙人になったのよ」
 「ちょっと色合いが違うだけで基本的には同じじゃないか」
 「あのー、私は前から宇宙人にされてたの?」
 「されてたのよ」
 「何で?」
 「だってその服拡げたら箒に跨って空飛んで行きそうだろ」
 「それは宇宙人でなくて魔法使いだろ」
 「そうか。それじゃ魔法使いと宇宙人って言い換えるよ」
 「魔法使いの息子で宇宙人の弟だったら竜太郎もまともな人間の訳が無いでしょ」
 「田丸、僕ってまともじゃない?」
 「ううん。3人ともとてもまともだと思う。うちより余程まともな家庭だという感じがする。まるでテレビのホームドラマ見てるみたい」
 「へー。田丸んちはどんななの?」
 「お互いにあんまり関心持ってないっていう雰囲気」
 「ほー。それならうちと同じだよ」
 「同じじゃない。全然違う」
 「そうかな」
 「そうよ。こんな家庭がテレビの中だけでなくて本当にあるなんて知らなかったもん」
 「ホームドラマとは大分違うよ、うちは。何しろこの服装見れば分かるだろ」
 「服装なんて関係無いわ。服装なんてただの好みの問題じゃない。そうじゃなくてお母さんと竜太君の関係とか、お姉さんと竜太君の関係が見ていて羨ましいくらい」
 「そうかあ?」
 「そうよ。こんないいお母さんとお姉さんに囲まれてるから竜太君は素敵な人間になったのよ」
 「へえ? 素敵?」
 「素敵? 竜太郎が?」
 「竜ちゃん、やったね」
 「やったぜ母さん」
 「どうも近々健全な男になりそうな雰囲気だわね」
 「またそれか」
 「健全ってどういう意味なんですか?」
 「いいの、いいの、気にしないで。ほら、寿司が冷めちゃうから食べたら」
 「お寿司は暖ったかい食べ物じゃないの」
 「それじゃほら、暖ったまっちゃうから早く食べろよ」
 「それじゃ頂きます」
 「ええ、どうぞ。沢山食べてね。電話すればいくらでも持ってくるんだから」
 「それはそうさ。商売だもの」
 「うん。だから沢山あるっていう話」
 「母さんの手料理でなくて良かったよ。でも寿司屋の手料理だからね」
 「寿司屋の手料理なんて言い方があるの?」
 「寿司屋だって機械で作る訳じゃ無いだろ?」
 「それはそうだけど」


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