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シルビア
【青春 恋愛小説】

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シルビア-10

 「知らないの? 見分け方教えて上げようか」
 「え?」
 「血が出たら処女で、血が出なかったら処女じゃ無いのよ」
 「それくらい知ってるよ」
 「で、血が出なかったの?」
 「だからそんなことじゃ無いって言ってるだろ。彼女とはコンサートに行ってその後食事しただけだ」
 「コンサートに食事だけ?」
 「そう」
 「やっぱり親の教育に問題ありだわね」
 「彼女の?」
 「竜太郎の」
 「私?」
 「そうよ」
 「どうして?」
 「高校生が女の子とデートしてセックスもしてこないのよ。母さん小学生で処女を失った時相手はいくつだったの?」
 「同級生だった」
 「ほら見なさい」
 「何が?」
 「小学生でもデートしたらセックスするのよ。それも大昔なのに。それに引き替え竜太郎を見なさいよ」
 「別にデートだった訳じゃないよ。それにそんなに大昔という程のことも無いよ。まだ30年経ってないもん」
 「そんなの大昔よ。ねえ?」
 「僕に同意を求めるなよ。姉ちゃんと母さんの会話って僕の頭と周波数が合わないから入ってこないんだ」
 「耳を貸してごらん」
 「聞こえてるよ。言ってることの内容が理解出来ないって言ってるだけだよ」
 「そんな難しいこと言ってる訳じゃないのに」
 「姉ちゃんもそんな服ばっか着てるから頭がおかしくなっちゃったんじゃないの? ついでにパンツも透ける奴にすれば良かったのに」
 「やっぱりそう思う? 私も随分迷ったのよね」
 「馬鹿。冗談で言ったのに、そんな恐ろしいこと考えるなよ」
 「透けたパンツ穿いてると恐ろしい?」
 「警察に捕まるよ」
 「そうなのよね。だからやめたの」
 「呆れた」
 「竜ちゃんは透けたパンツ嫌いなの? あんたの父さんは透けたのが大好きでね」
 「もうやめてくれってば」
 「母さん透けたパンツなんか穿いてるの?」
 「うん。だってそういうのが好きだって言うんだからしょうがない。そんなのばっかよ、私が穿いてるの」
 「黒い毛が透けたらモロ見えで気持ち悪くないのかしら。私みたいに白い毛ならいいけど」
 「2人とも、もっと食事時に相応しい話題が無いのかよ」
 「あら、食欲と性欲ってつながってんのよ」
 「それは姉ちゃんだけだよ」
 「そうかしら」
 「もう僕は母さんと姉ちゃんとは金輪際一緒に出歩かない」
 「金輪際っていつまで?」
 「金輪際っていうのは永久に、死ぬまでっていう意味」
 「何で?」
 「何でも」
 「来週の日曜だけ例外にしてくれる?」
 「何で?」
 「どうしても」
 「そしたら3週連続して一緒に外出することになっちゃうじゃないか」
 「だって姉弟なんだからそれくらいいいじゃない」
 「何の用?」
 「厭なお客とデートすんのよ」
 「だから? それが僕と何の関係があるの?」
 「厭な奴だから『弟がパソコン欲しがってるんだ。それを買ってくれるんなら付き合ってもいいんだけど』って言ってやったら買ってやるって言うのよ」
 「え?」
 「まさかそんなこと言うと思って無かったもんだから」
 「本当に買ってくれんの?」
 「買うと思うよ」
 「だって僕の欲しいパソコンって20万もするんだよ」
 「20万だって30万だって買うと思うよ」
 「え? 30万? 本当かよ」
 「でもその代わり買って貰ってハイサヨナラっていうのは駄目よ。姉ちゃんがデートしている間ずっと付き合うのよ」
 「それじゃ邪魔じゃないか」
 「だからいいのよ」


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