紅色のイタズラ-1
「優風…大丈夫か?」
「うん…はぁ、なんかフラフラする」
「飲みすぎだ…」
俺は足元がおぼつかないほど酒に酔った優風に肩を貸しながらすぐ隣の寝室まで運んでいた。
「陽太ごめんね…介抱させちゃって…怒ってる?」
優風はそう言って、酒の回った真っ赤な顔と潤んだ瞳で聞いてくる。
「どうだろうな…?」
わざとため息交じりに答えてみる。
すると優風はぷぅっと顔を膨らませた。
優風は酒なんて飲めない体質なのだがこの日はちょっとした事件が起こった。
とは言うのものの、俺の不注意が原因なのだか・・・。
もともと今日は夕方から優風と俺の部屋で会う予定になっていた。優風から少し遅れそうだと連絡があって、
それならばと、友人から海外旅行の土産でもらった赤ワインをグラスに注いで味見をしていたところ、
結局は時間通りにやってきた優風はそれをぶどうジュースかなにかと思い込んだらしく、
喉が乾いたと言って一気飲み…俺が優風にりんごジュースを用意しているほんの少しの間のことだった。
「なんか、もう本当にゴメンナサイ・・・」
「大丈夫…ほら、もうベッドだから」
「お酒だったんなら、言ってよぉ」
「そうだな。悪かった、悪かったよ」
優風の身体はじんわりと熱く、呼吸も浅く早くなっていた。
優風は柔らかく微笑み咄嗟に放したはずの俺の手をやんわりと握った。
「こんな事で、陽太に迷惑かけちゃった…」
言いながら申し訳無さそうに俺を見上げ、俺の掌を頬まで持って行った。
「そうだな…もし、俺が酔っ払ったら同じようにしてくれるか?」
言いながら優風の鼻先をつついてやると、照れくさそうに目を伏せた。
「陽太っ…大好きだよ」
優風はおもむろに上半身を起き上がらせると子供のように甘えた声で俺の首に腕を回し、力一杯しがみつく。
「俺もだ…」
クスッと笑いながら、そんな優風を優しく抱き締めてやる。
「優風…おやすみ」
優風の前髪を掻き上げ、現れた額に唇を落とし、瞼が降りたことを確認すると唇に触れるだけのキスをする。
「陽太…」
「もう眠った方がいい」
首に絡められたままの腕を優しく解いてやり、とろんとした表情の優風に布団をかけた。
「陽太、向こうに戻るの?」
「ああ…」
そう言って俺が寝室を出ていこうとしたとき、頼りない指先がグッと俺の服を掴んだ。
「やだ…陽太、ここにいて…」
その瞳はどこか艶めかしくて…俺の『雄』が微かではあるが無意識に反応した。
俺は優風に見つめられるとダメだ…