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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第9章 真っ赤なリース-1

「メリークリスマス!」

クリスマスイヴ、千城での最後のクリスマスパーティーを家族で行う田澤。3歳と5歳の娘は頭にサンタ帽を被り楽しそうにクラッカーを鳴らした。そんな家族を和かに見つめるのは田澤と妻、美由紀だ。美由紀は絵に描いたようなセレブ妻。誰もが羨む美人である。大学時代はミスに選ばれた事もありグラビアも飾った事があった。父を医者に持つ真のお嬢様であった。しかし性格は勝気でミスに選ばれチヤホヤされるのは気分が良かったが、グラビアでイヤラシイ目で男に見られるのが嫌に感じた美由紀は一度だけのグラビアで、以降拒んだ。大学卒業後は地元に父の病院に勤めた。田澤との結婚後は仕事を辞め家庭に入ったのだ。

部屋の温もりに窓が曇る。小窓からイヴの闇に灯りが溢れていた。灯りの中ではクリスマスケーキを美味しそうに口にする子供達がいる。片手にターキーを持ち交互に食べていた。
「もうこの家ともさよならだな…。東京に行ったらマンションだが、広さ的には問題ないが、やはり手放すのは寂しいな…。」
「あら、ステキなマンションじゃない。私は気に入ってるわよ?早苗?今度のお家からは花火が見えるんだよ?」
「すごーい!!」
田澤は苦笑いする。
(子供は気楽なもんだ…)
田澤に本庁転属の話があった時、正直迷った。愛着あるこの家から離れなければならない事など躊躇う事が多かったからだ。しかし何事にも上昇志向が強い美由紀は強く転属を推した。大学時代に経験した東京暮らしが好きだったし、何より本庁転属となると栄転だ。周囲に対して鼻が高い。美由紀はうまく子供を説得して東京行きを決めたのであった。

すると玄関のチャイムが鳴った。
「あれ?誰かな?サンタさんかな〜?」
美由紀がそう言うと子供達は目をキラキラさせながら玄関に走った。後を追い美由紀が玄関に向かい、そしてドアを開けた。
「あー!サンタさんだっ!!」
子供達のテンションが上がる。玄関からサンタのコスチュームを着た吉川が現れた。

「メリークリスマス!早苗ちゃんも雅ちゃんも今年いい子にしてたからサンタさんがプレゼント持って来たぞ〜!」
「わーい!!」
子供達は大はしゃぎでサンタさんの手を引きリビングへと連れて行く。
「ありがとうな、吉川。」
耳打ちする田澤。
「いえ。今まで世話になったお礼です。」
そう言って笑った。昨日の夜、吉川から電話がありサンタになって子供達を喜ばせたいと言って来た。せっかくの好意に田澤は快くお願いする事にした。夜、子供が寝静まってから、2人でゆっくりと別れの酒を飲むつもりだ。田澤は1番気の許せる吉川と最後に飲みたかった為ちょうど良かった。田澤一家はサンタクロースを交えて楽しい時間を過ごしていたのであった。


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