もう一人の自分-6
「っちゃん!茜ちゃんっ!」
「っ!!」
先輩に強く肩を揺らされてようやく現世に降りて来たかの如くハッと我に返る。
気が付けば何かを察したのか隣にいた部員が先に部室へ行っていた。
「……。」
私の目の前にいる先輩。
「大丈夫?」
何事もなかったかのように心配そうな顔を浮かべる。
「ないで…。」
「えっ?」
パァンッ!
「っ!!」
私の肩に触れるその薄汚い手を思いっきり振り払った。
「茜ちゃん!?」
「気安く触らないで、この人でなし!」
「っ!」
「よくも、よくも私の事を。」
「だから違うの!私は!」
「先輩って本当最低ですよね?そうやって人の気持ちを平気で踏みにじって。」
「違うの、私は!」
「言い訳しないでっ!…アンタ何か、もう尊敬する先輩でも何でもない。」
「っ!!」
またも彼女にきつく当たり、ストンと膝を床に付ける彼女を気にする素振りも見せず、冷たい背中を彼女に見せ、早々に部室へと向かった。
これで、これで本当に良かったのだろうか?