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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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もう一人の自分-2

「え、水族館?」
「うん!」

悩める私にどうという事もなく一枚のチケットを見せる。

「バイト先の常連さんがくれたんだ、本当は家族で行く予定だったらしいんだけど、急遽身内に不幸があったみたいで。」
「……。」

茜ちゃんとの仲を戻す何か良い突破口があると、期待に胸を膨らませたのに。

「…それは分かったけど、これが茜ちゃんとの仲を戻す事とどう関係あるの?」

まさか私と茜ちゃんと二人でここに行けって事なのだろうか。そうよね、まずは例の事で謝る謝らないではなく、まずはきっかけを作って、どうにか誘い出す事に成功して、そこから一旦は例の事は置いておいて、魚やイベントを楽しんで、そうやってお互いに嫌な事をどこかに吹き飛ばして、そこから気持ちの整理がついたところで。

「なるほどね、直接言うんでなくまずはそうやってきっかけを作ると。」
「え?そんなつもりじゃ。…けどそうしたいならそれでいいけど、出来るの?」
「それは…。」

何て、いいアイデアのように聞こえるけど実際には難しいだろう。私が彼女に声を掛ける事さえ難儀な事だってのに、第一もしそれが出来たにせよ相手が承諾何て…。

…絶対に無理ね、だってあれだけ怒らせたんだもの。どうして怒らせた相手の誘いに乗らなきゃいけない?

「…若葉ちゃん。」

大体それが上手くいった所でなんだって言うの?折角の休みの日に嫌いな相手と嫌ってる相手となんで仲良く水族館に?

これじゃどーせ気まずい空気だけがずっしり流れて、関係修復をするばかりかかえって余計に距離が遠のくばかりで。

でも、それじゃー根本的に。

「はいはいっ!ほらまたっ!」
「ごめん、……でも無理だよ、どう頑張ってもそれじゃー。」
「僕もそう思った。」
「じゃーどうするの?チケットがあっても、肝心な彼女を誘えないんじゃ。」
「うん、だから僕と君とで二人で行くのさ。」

え……。


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