Black chocolate valentine-12
(やっぱりあのボールペンには私の愛が宿っていたのね…。ハァハァ…、お互いこんなに感じあえるこのタイミングで私たちを引き寄せてくれた…。)
想い…、恐らくはたから見れば呪いだろう。しかし友美には全くそんな意識はなかった。怨念を今まで想いだと信じて生きてきた。友美にとっては想いが通じた何物でもなかった。
(もうあなたは私の愛液でメロメロのはず…。私の愛液はあなたの血となり肉となり一生あなたの体の中に宿り続けるの…。あなたを虜にする為に完成されたこのカラダにあなたはこんなに夢中になって…。ンフッ…。失われた20年間の愛をしっかりと受け止めて貰うからね…、俊輔…)
友美はスッと体を起こし、朦朧とする俊輔の体に跨る。そして腰を沈め、性器と性器を軽く触れさせた。
「愛してるよ…、俊輔…」
友美の表情に俊輔は魂を吸い寄せられる。その表情にはただ深いだけの愛情とはまた異なる種の愛を感じてしまう。俊輔は友美から放たれる見えない赤い糸はゆっくりと妖しげに俊輔の体に巻き付いて行くのであった。
「友美…俺も愛してる…」
俊輔のその言葉は脳を通らずに口から出てきたのであった。
「俊輔…」
「友美…」
ボールペンに込められた怨念は、今2人を20年の時を超え、2人を1つにしたのであった。
… … … … … …
「おはようございます。」
翌日、彩音を送りに来た亜里沙に向けられた友美の笑みに、亜里沙は何かを感じ取ったのであった。
「友美先生、今日は何だか少しお疲れのようですね…。」
そう言った亜里沙の目に映る友美は、保育園の先生ではなく、1人の女であった。
終