悦子-27
「なあ」
「何ですか?」
「今度来るときは、何とか都合をつけて、此処に泊まっていってくれないか?」
「どうしてですか?」
「一晩中君を責めたいんだ」
「責めるというのは何ですか?」
「つまり君と楽しみたいんだ」
「一晩中ですか?」
「そうだ、朝までだ。いや、夕方に 別れるとして、その時までだ」
「何をするんですか?」
「そうだな、何か非常に変わった、君なんか想像も出来ないようなことをしたいと思うけど、まだ具体的には思いつかない」
「どうしてそんなに変わったことばかりしたがるんですか?」
「そういうことをすれば、君の体は普通のセックスでは満足できない体になってしまう。すると心ではイヤだと思っていても、君はもう僕から離れられなくなってしまう」
「先生は何か辛い経験をなさったんですか?」
「辛い経験とは?」
「ですから愛した女性に去られてしまったということです」
「まあ、それは浮世の常だからな」
「それで私も先生を去っていくと恐れていらっしゃるんですね」
「まあ、恐れていらっしゃる訳でもないが、いずれはそうなるだろう」
「先生の方から私を捨てるという恐れはないんですか?」
「馬鹿な。この上玉を逃したら、僕は一生後悔する」
「まあ」
「という訳だ」
「何がという訳なんですか?」
「うるさいな、君は。ゴチャゴチャ言ってると、この可愛い体に刺青でもしてやるぞ」
「それは堪忍してください」
「ふん、イヤか?」
「イヤです」
「そんなにイヤなら失神してる間に僕の名前でも刺青してやるかな」
「お願いですから、それだけは許してください」
「それだけは? すると他のことならいいのか?」
「まあ大抵のことなら我慢します」
「それじゃ貞操帯でも買って穿かせてやるか」
「そんな。そんなことされなくとも、先生以外の男性と何かしようなどは、考えもしません」
「考えはしなくとも、ついやってしまうということはある」
「そんなことありません」
「イヤ、ある」
「先生の場合はあるんですか?」
「馬鹿め、君の事を言ってるんだ。君はもともと淫乱だが、もっと淫乱な女になるんだ。僕が丹精を込めて、毎日セックスしないと気が狂ってしまうような体に作り変えてやるからだ」
「そういうことをなさるから、浮気をすると心配になるんではないですか」
「そうだ」
「それなら初めから、淫乱な体に作り変えなければそんな心配も要らないんじゃありませんか」
「君は文明の進歩という奴を分かっていないな」
「は? 淫乱な体に作り変えるのは、文明の進歩なんですか?」
「そうじゃない。たとえば狂牛病のことを言うとだな、あれは文明の進歩が生み出した副作用なんだ。もともと動物は自分の子供を育てるのに必要な量の乳しか出さない。それを人工的に洪水みたいな大量の乳を出す牛を作り出した。だから必然的に牛乳は水分ばかりの水っぽいものになってしまう。それを補うために牛が本来食べないような配合飼料というものを与えて、普通の牛乳と変わらない物を出すように工夫した。しかしその結果狂牛病なんていう新しい病気が出来てしまった。牛が本来食べている草だけで育てれば、狂牛病なんてものは出来なかったんだが、それでは人間が必要とする量の牛乳が生産できないわな。だから配合飼料というのは、一種の必要悪なんだ。男が必要とする淫乱な女を作れば、その副作用として必然的に浮気という問題も起こる。そこで貞操帯も一種の必要悪になってくるという理屈だ。分かるか?」
「全然分かりません」
「まあ、分からなくともいい。君は只黙って僕の言うとおりにしていればいいんだ」
「私は先生のおもちゃみたいですね」
「そうそう、それが愛というものだ」
「そうすると、私も先生のことをおもちゃにしていいんですか?」
「ん? あー、まあ、そういうことになるかな。なるな」
「それなら私は先生のおもちゃになります」
「よしよし。可愛い奴だな」
「あっ、もう十分です。少し休ませてください」
「そうはいくか」
栄一は性器が悦子の体からまだ抜けないのをいいことに、そのまま悦子の耳や喉を舐めまくって、愛撫した。スカーフを持っていることを知っているので、遠慮せずに喉に沢山のキスマークをつけてやった。