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妙子2
【その他 官能小説】

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妙子2-9

 「そういうのいいな。それならヤクザでも私好きになりそう」
 「俺のことがか?」
 「うん」
 「此処は店じゃないから騙す必要はないんだぞ」
 「騙してなんかいないよ。本当に好きになりそうなんだもん」
 「この顔で?」
 「男は顔なんかじゃないよ」
 「それじゃ何だ」
 「性格よ」
 「俺の性格がもう分かったのか?」
 「だって今言ったじゃない。暴力は嫌いだって」
 「それで好きになるという訳か」
 「うん。私暴力をふるう男は大嫌い」
 「そういう男と付きあったことがあるのか?」
 「そんなのばっかり」
 「なんじゃそれは。男運が悪いと言うか、男を見る目がないと言うか」
 「男を見る目がないのよ。あんなの駄目、やめときなさいと私が何度言っても好きになってしまうんだから」
 「だって初めは優しいんだもん」
 「そりゃまあ、初めから暴力をふるう男はいないわな」
 「うん。だから騙される」
 「お前の場合は男を騙すんじゃなくて騙されるんだな」
 「そうみたい」
 「少しは彼女を見習うんだな」
 「騙して欲しいの?」
 「そうじゃないが、騙してナンボの商売してるのに騙されてしまうんでは話しにならんだろうと言ってるんだ」

 「あら、今日は連れがあるのね。珍しい」
 「弟分の史郎だ」
 「史郎です」
 「妙子です。よろしく」
 「こちらこそ」
 「誰か呼ばないといけないわね。誰にしようかしら」
 「それがな、店に入った途端に久美に目を付けた」
 「久美ちゃん?」
 「ええ。あの白い服を着た子」
 「それは美人だから目立つけど、久美ちゃんは指名が多いからゆっくり座ってないわよ」
 「それでもいいです」
 「それじゃ久美ちゃん呼ぶわね」
 「はい」
 「いらっしゃいませ。指名有難うございます」
 「可愛いですねえ」
 「有難う」
 「史郎さんと言うんですって」
 「素敵なお名前ね」
 「普通です」
 「史郎さんも総会屋さん?」
 「見習いです」
 「おいくつ?」
 「21です」
 「わあ、私と一緒」
 「そうですか」
 「生まれは何処?」
 「東京です」
 「私は新潟」
 「そうですか」
 「高校中退して16の時に東京に出てきたの」
 「そうですか」
 「16の時からホステスやってんの。私って馬鹿だからそれくらいしか出来ないし」
 「はあ」
 「だから21でもホステス歴5年のベテランよ」
 「はあ」
 「あのな、妙子」
 「何?」
 「史郎はさっきから久美の方ばかり見てるんだ」
 「うん。冷たいね」
 「当たり前だ。久美と話がしたくて久美を指名したんだ」
 「あそうか。ご免ね」
 「いや、いいです」
 「お前は隣に座ってる俺と話してればいいんだ」
 「はい」


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