妙子2-31
「女だと仏心を出すの?」
「そうじゃないが、俺は女を相手に暴力振るったことは無いし、そんなことは出来んからな」
「それじゃ、どうするの?」
「まあ、もう暫く様子を見よう。そのうち忘れてくれるかも知らんし」
「私が話をしてみようか」
「それは逆効果だ」
「そうかしら。同じ女だからいいんじゃないの?」
「同じ女だからまずいんだ。余計彼女のプライドを傷つける」
「そうかしら」
「そうさ。お前がいなければ俺を思い通りに出来たと彼女は思っているんだ」
「そうすると私は久美ちゃんと争って研を物にしたみたい」
「別に争った訳じゃないが、彼女としてはそんな風に感じてるかも知らんな」
「そうか」
「ねえ。いろいろ買ってくれるのは嬉しいんだけど、変なものばっかり買わないで普通のも買ってよ」
「俺はな、お前の金を貰って買って来るんじゃない。俺の金でお前の身に付ける物を買ってやってんだ」
「そうだけど」
「そこらのヤクザなら逆にお前の稼いだ金で俺の服を買え、靴を買えって言うんだぞ」
「うん。今度買って上げる」
「馬鹿。そういうこと言ってんじゃない。俺の金でお前の物を買ってやってんだから、何だって喜べばいいと言ってるんだ」
「うん。そうなんだけど」
「研が好きで選んでくれたら私は何でもいいよと言ったのはつい最近のことじゃないか。もう心変わりしたのか」
「心変わりなんてしてないよ。ゴムの下着だって紐の下着だって穿いてるじゃない。でも、あれって下着って言うのかな」
「何で?」
「だって紐があそこに食い込むだけで、何処も隠れないよ」
「隠れるから下着と言うんじゃない。服の下に着るから下着と言うんだ」
「そうだけど隠れるようにするのが下着なんじゃないの?」
「だからちゃんと中に食い込んで隠れてるだろ」
「うん。え?」
「これはちゃんと大事な所が隠れるし、皮だから高いんだ」
「皮だっていいんだけど、そんな物入れないといけないの?」
「これを入れるから面白いんだ」
「それってバイブでしょ?」
「良く知ってるじゃないか」
「それくらい知ってるよ」
「後ろに入れる奴はちゃんとそれなりに細くなっている。良く考えて作ってあるな」
「それ、何時穿くの?」
「何時でも穿くんならそれでいいんだ」
「そしたら、うちにいる時でもいいの?」
「だから何時でもいい」
「仕事の時に穿いて行かなくてもいいのね」
「仕事の時にこれを穿く訳にはいかんだろうよ」
「そうか。そんならいいや」
「そうだろ? 俺は非常識なことは言わないんだ」
「それじゃあんまり嬉しくないけど、折角研が好きで買ってきたというんだから、今穿くね」
「うん。手伝ってやる」
「気持ち悪い」
「気持ちいいんだ」
「そんなこと言っても気持ち悪いもん」
「あのな。気持ち悪いと気持ちいいは紙一重なんだ。鳥肌立つほど気持ち悪いと思っていても、それがアッと思った瞬間に気持ち良くなって痙攣して失神したりする」
「そんなことあるかな」
「ある。スイッチを入れれば分かる」
「スイッチなんか入れないで」
「スイッチ入れなかったら面白くも何ともないじゃないか」
「そしたらスイッチ入れたらセックスしてよ」
「それはどういう理屈だ」
「だってスイッチなんか入れたら感じそうなんだもん」
「それはそうだ。これはセックスより感じるぞ」