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妙子2
【その他 官能小説】

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妙子2-12

 「はい。お釣り」
 「二つも喰うのか」
 「1つは研の」
 「俺はいらんよ。そんなもの」
 「いいから、ほら」
 「俺はそういう甘い物は苦手なんだ」
 「こういう所に来たら童心に返ってこういうのを食べないといけないのよ」
 「童心に返ってか。お前にしちゃ気の利いたこと言うんだな」
 「ね? 2人でソフトクリーム舐めながら歩いてると遊園地にいるんだなあって気がしてくるでしょ?」
 「遊園地にいるんだから当然だ」
 「そうだけど気分が」
 「俺はお前とデートしてるだけで気分がルンルンだ」
 「本当? それにしては嬉しそうな顔してないよ」
 「嬉しくても怒っててもこんな顔なんだ」
 「私なんかね、すぐ顔に出るのよ。厭なお客さんが来ると指名してくれるのはいいんだけど、こいつの隣に座るの厭だなって思うからブスッとした顔になっちゃうの」
 「それはいかんな。商売なんだから」
 「うん。久美ちゃんなんか誰が来てもニコニコして嬉しそうにするんだよ。あんなの真似出来ないな」
 「まあ、嬉しそうな顔が出来なくても、せめてブスッとした顔はしないようにするもんだ」
 「うん。でも厭なお客に触られたりすると『触んないでよ』なんて言っちゃう」
 「それは場所によるな。変な所触ったら怒るのは当たり前だけど、手や肩くらいだったら水商売なんだから我慢しないとな」
 「うん。私だってそう思うんだけど、つい言っちゃうのよ」
 「そうか。それはまあ性格だから仕方ないか」
 「研はユミちゃんにベタベタされても、厭そうな顔するだけで黙ってやらせてたね」
 「女に触られたくらいで騒ぐ訳にもいかんだろ」
 「優しい人なんだなって思ったよ」
 「別に優しいってことはない。変な所触ったりしたら黙ってないさ。だけどホステスのいる店に飲みに行ってんだから、厭な女が手や肩くらい触っても我慢するのは当たり前だ」
 「そうか。ホステスもお客も一緒なんだね」
 「そうだな。だけどお客は触りたくて触るけど、そのユミって女はサービスのつもりで触ってるんだろ。それを『やめろ』と言うのは大人気ない」
 「ユミちゃんって私達と喋る時もやたらにあちこち触るよ」
 「そうか? まあ、そういう女もいるな」
 「だから唯の癖で研に触ってただけだと思うよ」
 「癖なら仕方ない。黙ってやらせておくしかないな」
 「変な癖だったら? それでもやらせておく?」
 「変な癖とは?」
 「キスするとか」
 「そんな癖のある女はいないだろう」
 「いるよ。私の友達で酔うとやたらに人にキスする子がいる」
 「それは酒癖と言うんだ。そういうのは癖だって黙ってやらせておいたりしない」
 「やめなさいって説得するの?」
 「酔っ払い相手に説得したって無駄なことだ」
 「それじゃ手でよけるとか?」
 「いや。舌を吸い込んで放さない」
 「スケベ。スケベなんだから」
 「向こうがやって来るんじゃないか」
 「でも舌を吸うのはスケベだよ」
 「今度その友達を紹介してくれ」
 「この話するとみんなそう言うんだけど、男ってそんなにキスがしたいの?」
 「冗談だ。口というのは汚いんだ。誰でもいいからキスしたいなんて思うもんか」
 「口って汚いの?」
 「犬や猫は自分のチンポ舐めたりするからな」
 「まさか。その子はそんなことしないよ」
 「それはそうだ。女にチンポはない」
 「そんなことじゃなくて」
 「要するに口臭があったり、今喰ったソバが歯にはさまってたり、人の口なんて汚いと言ってるんだ」
 「それもそうね。あら、いくらも食べないのね」
 「お前はもう全部喰っちまったのか」
 「うん」
 「人の口は汚いと言ったばかりだが、俺が舐めた奴で良ければ食べてくれ」
 「うん。貰う」
 「あそこのベンチに座ろう」
 「もう疲れたの?」
 「そうじゃない。こんなに早起きしたのは久しぶりだからまだ体が眠ってんだ」
 「それじゃ起こして上げるね」


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