恒例行事-1
薄暗い照明の中、身動き取れずにただ待っている。両手は万歳をして手枷をはめられ、両足はがに股の状態で足枷とビニールテープで固定されている。裸でベッドに転がされ、こんなみっともない格好で既に30分は経ったであろうか。
「おい、粗チン野郎」
真っ黒なシルクのランジェリーに身を包んだ女が現れた。ガーターベルトも、網タイツも、サテン生地の手袋も、全てが黒い。女は美しかった。二重がくっきりとした大きな瞳は誰が見ても口を揃えて美人だと言う。30になっても腰は細くくびれ、胸や尻の形は崩れていない。
「相変わらず粗チン野郎だな、お前は」
透き通った声だが冷酷な印象を与えられる。サテン生地の手袋をはめたまま、陰嚢を指先でくすぐってくる。これをされては我慢できない。吐息を漏らし、思わず腰がくねる。
「なぁにクネクネしてんの?ここ弱いんだ。気持ち悪いねお前…ほぉら、コチョコチョコチョコチョ…あー、小指が立ったぁ」
女は私のペニスを小指と表現する。決して短小ではなく、最大で12pはある。日本人男性の平均が確か12pとか13pとか。だから私はぎりぎり平均のはずなのだ。だがM性感のデリ嬢である女にとっては、平均的なペニスは見飽きたものなのだ。
「いっそのこと本物の短小の方がネタにもなるし記憶に残るわ。顔覚えてなくてもチンポ見たら『ああ、あの時の』ってなるし。平均サイズで満足してる奴なんて何回指名されてもよっぽどのイケメンじゃなきゃ覚えない」
のだそうだ。そんな女にとっては、私など短小と変わらないのだろう。それに加えて女が私のモノを貶す理由はもうひとつ。
「子種も満足に作れない金タマ袋に小指程度のチンポ、犬の方が価値があるわ」
私の精巣に原因があるせいで子供を授かるのが難しいのだ。いつもそれをネタにされる。女には申し訳ないと思う反面、最近は貶されながら全身の性感をくすぐられ、焦らされる行為に何とも言えない興奮と悦びを覚えるようになった。
「子種ないんだったら女になっちゃえばいいのに。ほら、乳首弱いんでしょ?こここんなにコリコリして…お前のチンポより硬いんじゃないの?」
女の乳首責めは極上だ。責められ続けるうちに一瞬自分が男であることを忘れてしまう。気付けば体を反らせながら女のように喘いでしまっている。
「う…あぁ…き、気持ちいい…です…くぅぅっ」
「あらあらあら…厭らしい声出して。この変態」
「あっくぅぅぅぅっごめんなさい!あっ」
久しぶりに最大まで勃起したペニスの根元に、女はコックリングを嵌めた。ボウルにローションを注ぎ、手で掬い取るとヌルヌルの手で竿を握り、亀頭を優しく撫で回した。
「あぁぁぁ…くぅ…いい…はぁぁ」
仕事で培った極上テクニック、本気を出せば私などものの5分で果てるだろう。しかし女は私を許さなかった。壁にかかっている時計が無機質に時間の経過を教えてくれる。20分経っても女は私の亀頭だけを苛め続けた。
「あー!もういきたい!頼むよぉ!」
「うるせぇよATM」
女は凍りつく程冷たい声で私を罵りながら、カリ首を指先でクルクル円を描くようになぞった。
「もう許して…ああっ」
女は私を無視すると、ストッキングを手に嵌め、ローションのボウルに突っ込んだ。
「待って…それは待って螢子…お願い…」
「今なんつった?」
「ああっ!申し訳ございません!杏奈様!杏奈様!」
女は私を許さず、ローションが滴り落ちるストッキングを亀頭に被せ、ゆっくりと靴磨きのように左右に擦り始めた。
「あーっ!だめ!死ぬ!死ぬから!いひぃひひひっ!あーーっ!」
気持ちいい、でもくすぐったい、でも気持ちいい、ローションが冷たい、でも熱い、でも気持ちいい、でもつらい、もう許して、でももうちょっと続けてほしい、気持ちいい、でも無理、でも気持ちいい、もう無理、もう限界、でも気持ちいい…。
「別の地獄見せてもいいならいかせるけど、どうする?」
「もういきたいです!いかせてーっ!」
女は亀頭磨きをやめ、やっと扱き始めた。散々弄ばれたペニスはすぐに限界を迎え、あっという間に果ててしまった。
「はぁぁ…………あ…あの…ちょっと…もうやめ…あの…ひっ!いひっ!ひひひっ!だめ!もう無理!無理だから!お願い!やめてぇ!」
「もうひとつの地獄だよ」「あーっ!」
射精直後に亀頭を撫で回され、全身をくねらせて悶え狂った。真っ赤に充血した亀頭が、キャパを超えた快感を脳髄に送り込んでくる。泣き叫びながら潮を3回吹いたところで女は私を開放した。
「きっちり120分だね、どうする?延長する?」
「い、いや…もう…許して」
「あ、忘れてた。こっちが残ってたね」
肛門にずっと入っていたバイブを引き抜かれた。
「ほら、お前より大きなチンポ」
女はペニバンを装着すると、私の哀願には答えもせず、私に覆い被さり無言で腰を振った。
「お…おお…う…はぁぁ…」
調教され、仕込まれた前立腺はみるみるうちにペニスを立たせ…
「うっ…あぁぁっ…はぁぁっ…」
「久しぶりのトコロテンだね」
放心状態の私を撫でながら言った。
「M性感のフルコースをただで味わえるんだから感謝しなさいよ」
拘束されたままの私を放置し、寝室を出ていった。
これが、妻が生理中に行われる夫婦の恒例行事だ。