現-1
新しい視覚になれるには、少しだけ訓練が必要だった。
カメラが後頭部の視覚野にデータを送ってくれるが、意識が集中しないと、うまく像が結ばない。あと、結局、左手は生えてこなかったから、義手を接合した。両足は、生えてはきいたが、うまく歩くには一年以上の訓練が必要らしい。
それでも、僕は幸運さ。
一人だ生きていて、まぁ、全身が破損していたけど、それでも国は僕を助けてくれた。
僕を見捨てたら、世論は致命的な方向に進んだだろうからね。
あー、こうした風に当たっていられるのは、とても幸せだ。
君にはまだ、会えていないけれど、君は幸せだろうか?
機械の目で世界をみる僕には、未来が見える気がする。
東京の街中で、片手なし、片足なしの日本人が、敵に向かって笑いながら近づいてく。
手には座布団を持ってる。
中には粗末な即席爆弾。
そして満面の笑みでぶつかって、そして、閃光になる。
まぁ、それは未来ではないさ。
ほら、僕に近づいて来る人がいる。
そして光で視覚が焼き切れる。
僕は、そして、やっと、死ぬのかな?
それとも、戦争から帰還した英雄として、また、生き返るのだろうか?