おどり喰い-1
生徒指導室、ていう名前がそもそも気に入らない。
生徒指導室があるんなら、教師指導室も必要じゃないかな?
というわけで、今日は一日教師指導室、もとい人妻美人女教師指導室を開設する。
「美里、なにこれ?」
「えっ名刺」
「妻み喰い屋って、これなんて読むの?」
「つまみぐいや」
「(ガク)おやじか、お前は」
「いいじゃん、不逞な人妻をお仕置きする妻み喰い屋」
「まぁ、いいや」
さて、名前云々は別にして、
「美里、先生には伝えた?」
「うん、大丈夫!!」
美里は美少女といっていい。
「先生、なんで嘘ついたのかな?」
うーん、それをきくのが目的だからね。
「なんでかなぁ」
ガタガタ、扉が開いた。
「おまたせ、せいくん、美里さん」
笑顔満開だな、先生。
どうぞこちらへ、と椅子へ、そこに美里がコーヒーを持ってくる。
「なんのようかしら」
「えーと、真白先生に確認したかったのは、あれ、嘘でしたよね?」
「えー、ましろ、よくわからないなぁ」
頭痛い・・・・。
「せんせい、赤ちゃん、いなかったんですよね?」
美里がなんとも自然に先生の細い首に首輪をはめた。
「なに、これ、ダメよ、おいたわ」
「えーと、確認したのは、妊娠していたか、どうかだけです」
「うーん、勘違い、じゃだめ?」
「駄目ですね」
美里が楽しそうに首輪をくるくる回してる。
あー、やる気満々だ。
「それに、先生、結婚するそうですね」
「えっ、ええ、そうね」
あー、動揺してるなぁ。
「ということは、僕に話した内容の半分は嘘だった、ということでいいですね」
「うーん、大人の事情だから、子供に難しいと思うけど、嘘じゃないのよ」
「関係ないですね」
「もういいでしょ、美里さん、これ外して」
「いやいやよぉーーー」
「ふざけてないで外しなさい」
「嘘つきは泥棒の始まりですよ」
「外せっていってんのよ、大人をなめるじゃないよ」
あー、徐々に本性出てるよ、やだやだ。美里、やっていいよ、と目で合図。
「美里、いきまぁーす。スイッチ、オン」
「あなたたち!」
と叫んだ途端、先生は床で転げ回ることになった。
「お兄ちゃん、電気首輪、よくきくね」
本当だ、犬用無駄吠え防止電気首輪、これ、いいなぁ、人間にもつければいいのに。
「美里、あれを」
「うん」
美里が奥から出してきたものをみたら、先生、気が狂っちゃうかもね。
「ひゃゃゃ、だめ、やめて」
ビリビリ、先生は再び床をのたうちまう。
あーあ、嘘つきの末路は哀れだね。
「先生、これ、わかりますよね。先生の大切なウェディングドレス。綺麗ですね、真っ白で、刺繍が素敵で、僕、着てるのみたいな、美人の先生が着たら、すごくそそるでしょうね」
「(小声)いや」
一応、学習しているなぁ。
「着ろっていってんのよ、先生!」
美里が先生の髪を掴んで凄んだ。
やばい、美里。
「先生、美里が暴走しない内に着た方が無事にすみますよ」
やれやれ、先生は涙目で沈黙したまま、ウェディングドレスに着替えた。
あー、随分、着痩せするんだなぁ、あと下着派手すぎ。
刺繍部分から真紫の下着がすけて、これは卑しすぎる。
「さぁ、教師指導を初めましょうか」
「ひぃ」
立ったまま話すこともできずに震えて、目だけで憎悪をぶつけてくる真白先生は、とても素敵です。ちょっとお仕置きだけのつもりだったけど、この憎悪には応えないわけにいかないですね。
美里を呼んで先生に聞こえないように用件を伝える。
凶悪な笑顔をで美里が出て行く。
「(小声)なに、もう、いいでしょ。放してよ」
「真白先生、僕、先生のこと好きだったんですよ、だから先生の言ったこと、信じて頑張ったのに・・・」
「せいくん、ごめんなさい」
「せんせい」
「なぁんて、いうと思うか、大人を舐めんなよ、ガキ」
「あー、やっぱり、駄目ですね、先生は」
ふー、駄目な人は、指導をしても駄目ですね。
「先生、さようなら」
「!?」
僕は先生に目隠しをして、リードを壁の配管に縛りける。
先生はもがいて逃げようとするけれども、部屋の外には出られない。
あわれだなぁ、と思いつつ、外へ出る。
さよなら、せんせい。